カテゴリー別アーカイブ: 故郷

168 安居楽業

2年前、京都へ紅葉見物に行きました。
時間に限りがありましたので、嵯峨野地域に限定して散策しました。
その際、二尊院を参拝し、3枚の色紙を拝領いたしました。

その1枚が上の「人生五訓」です。
短い5つの戒めの言葉に、いたく感動しました。
焦るな、怒るな、威張るな、腐るな、怠るな、と漢字で書いていないところもちょっといいですね。

近年、仕事が多忙になった時、ふと立ち止まってこの「人生五訓」を思い返すようにしています。今は年度末ですから、年間で最も忙しい時期です。
今朝も仕事の前に、自らに言い聞かせました。

年度末といえば、近年、3月になると製本所が異常なほど繁忙を極めます。
平日の残業はもとより、土・日も祝日も出勤しないと仕事が消化できません。

ペーパーレスによる印刷業界の低迷で、製本所の数は年々減少しています。
仕事量が全体に減っていますから、平時はどうということはありません。

しかし、年度内納めが極端に集中するこの時期だけは、業者数が減ったことで、現存の工場が一気にパンクするのです。

ところが、怒濤の3月が終わり、カレンダーを1枚めくると、潮が引くように仕事がなくなります。
これでは、3月の頑張りが報われず、空しい限りです。

話を二尊院の色紙に戻します…。
もう1枚の色紙には「心の糧七ヵ條」が書かれています。

一、此の世の中で一番楽しく立派なことは生涯貫く仕事をもつことである

一、此の世の中で一番さみしいことは自分のする仕事がないことである

一、此の世の中で一番尊いことは人の為に奉仕して決して恩に着せないことである

一、此の世の中で一番みにくいことは他人の生活をうらやむことである

一、此の世の中で一番みじめなことは教養のないことである

一、此の世の中で一番恥であり悲しいことはうそをつくことである

一、此の世の中で一番素晴らしいことは常に感謝の念を忘れずに報恩の道を歩むことである

生涯貫く仕事といえば、私の父が正に実践中です。
87歳にして毎日出社しています。
私には87歳の景色は想像もできませんが、日々自らを鼓舞し、社会の一員であり続けているのだと思います。

つい先日、ある病院の教授から、なぜ会社名が“伊豆”なのか、と質問を受けました。
丁稚奉公として上京したときから、いつか故郷の名を配した会社を興したかったという父の夢をお話ししたところ、「それは素晴らしい」とお誉めいただきました。

弊社は、この3月で45年目を迎えました。
印刷業界は逆風にさらされていますが、そんな中、仕事をいただけるのは有難いことです。
色紙の最後の1行にもある通り、感謝の念を忘れてはなりません。

そして、零細企業とて、守るべき社員とその家族がいます。
社員が安居楽業できるようにすることも、社長の重要な務めです。
安易なことではありませんが・・。

「安居楽業」:
今いる環境や状況に心安らかに満足し、自分の仕事を楽しんですること。自分の分をわきまえて不満をもたず、心安らかに自分のなすべき仕事をすることをいう。(goo辞書より)

132 輭紅塵中

なんこうじんちゅう。
華やかで賑やかな都会の様子、という意味です。
世代的には、木綿のハンカチーフの世界観を思い出してしまいます。

私の両親は静岡県と千葉県の出身ですが、私は東京生まれ東京育ち。
これまで、東京23区以外に住居を構えたことはありません。

老後は田舎暮らし・・。
そんな夢を抱いている中高年層は、結構多いのではないでしょうか。
しかし、スーパーやコンビニ、駅、病院などが遠い生活は、私には無理かなと思います。

「仕事用のスーツを買う店が山梨にはないんですよ・・・・。」

以前、甲府に転勤になった後輩が、そう言っていました。
もちろん、紳士服店が全くないはずはありませんので、お気に入りの店がなかった、ということなのでしょう。
いずれにしても、スーツを購入するのは上京したとき、と決めていたそうです。

百貨店がないという状況も、私には差し障りがあります。
ワタクシ、結構デパート好きな中年です。
ひとりでも、カミさんと一緒でも、普通に行きます。
高価なものには縁がありませんが、紳士モノだけではなく、女性向けのフロアもへっちゃらです。
男としては、珍しい部類だと自覚しています。

東京ガーデンテラス紀尾井町

写真は、東京ガーデンテラス紀尾井町から空を見上げて撮影したのものです。

ちょっと電車に乗ればこんな景色がある。
週末には、カフェで読書ができる。

そんな場所に住み続けたいと思っています。

そして、近年、益々都会の中心部に住みたいと思うようになってきました。
今後、年を重ねても変わらないと思っているのですが・・。

14 蓴羹鱸膾

今日は朝から健康診断に行ってまいりました。
先週後半は夏期休暇でしたので、気が緩んで少し体重が増えてしまいました。
健康診断を控えた今週のランチは、水曜日を除く4日間、蕎麦!
ちょっと女々しい行為と感じつつ、低カロリーなメニューでお昼を過ごしました。

さて、健康診断最初の項目は身長と体重測定。
測定器に乗って待つこと10秒。
プリントされてきた紙に書かれた数値は「172.5cm、65.95kg」。
蕎麦の効果か否か、休暇中の増加分はお釣りがくるほど減っていました。

ところで、私が毎年のようにひっかかるのは「中性脂肪」。
正常値は30~149mg/dLだそうですが、私は150〜200の間が多いのです。
「お酒か甘い物か、好きですか?」
と医師に聞かれたことがありますが、私はお酒が全く飲めません。
とはいえ、子供のようにお菓子を毎日食べるわけではないので、結局は運動不足なのでしょうか。

全ての検査が終わり、医師との診察になりました。
医師が、私の血液検査の結果が書かれた用紙をみているそばから、「中性脂肪はいくつですか?」と尋ねると、125とのことでした。

「いや〜、美しい数値ですね〜。」
思わず口をついてしまいました。

「検査結果は総じて優秀な部類ですが、運動するよう普段から心がけて下さい。」
医師はたしなめるように仰りました。

ところでこの医師。もう何年も健康診断の際にお目に掛かっていますが、とっても温厚で優しい男性医師なのです。
年に一度しかお会いしませんが、先生もなんとなく私が印象にあるようでした。
すると、診察の途中に突然、
「伊豆アート印刷って名前、どういう由来なの?」
と尋ねてきました。

「私の父が伊豆の出身なので・・。」
「伊豆のどこ?ボクは東伊豆の出身なんだよ。」
「そうなんですか。父は長岡のちょっと北です。ん・・、韮山の近くです。」
「あー!韮山ね。田舎なんだけど、韮山高校なんて優秀な学校もあるよね。」
「はい。韮山高校は甲子園で優勝したこともあるんですよね。」
「よく知ってるね!すっごい昔だよね。正に文武両道だね。」

診察室は妙な盛り上がりをみせていました。

「なんのことやら、さっぱりわからんでしょ。」
医師から問われた女性看護師さんは、
「はい、まったく・・。」
「いいのいいの。数値が高いとか、運動しなさいとか、お酒は控えなさいとか、そんな話より何倍も楽しいねぇ♪」

先生はとっても楽しげでした。
よっぽど楽しかったのか、いつもより長く診察してくださり、ちょっぴり痛みも長引いた直腸診でした。

参考:韮山高校は1950年第3回選抜高等学校野球大会の優勝校です。