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189 用和為貴

国内における新型コロナウイルスに対するワクチン接種が、ここにきてスピードを増してきました。
北海道の奥尻島では、島内の高校生を対象に今月末にもワクチンの接種を始める方針であるとか、東京都新宿区では7月上旬から20代や30代の若者を優先的に集団接種を始めるとか、医療従事者や高齢者以外にも接種対象が広がる傾向を見せています。

とはいえ、現在接種しているのは、海外製のワクチンです。
世界的にワクチンの需要が高まるなか、海外から期待通りに安定供給される保障はありません。

しかし、日本ではワクチン開発に巨額な予算が投じられていないことや、安全性や倫理性の確認に時間を要することなど、国産ワクチンの早期開発は、まだ現実性を帯びていないようです。

アメリカでのワクチン開発に関して、興味深い記事がありました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/be0246c317e42e6e18630519523d3b964946af7f?page=1

昨年5月15日、トランプ大統領は「オペレーション・ワープ・スピード(OWS)」に着手しました。
その内容は、正規の手続きを踏むと73カ月要する工程を14カ月に短縮し、「安全で効果的なワクチン3億回分を2021年1月1日までに供給する」ことをミッションに定め、具体的には、以下のような工夫が盛り込まれています。

  • 「複数のプロジェクトを並行させ、有望なものは開発途中から治験を開始する」
  • 「事前に3万人のボランティアを集めて、早期承認のためのデータを収集する」
  • 「治験の最中から生産に踏み切る」
  • 「ワクチンが完成する前から、配布と接種の準備を始める」

このあと、上記サイトでは、次のように続けています。

特に製品ができる前から生産に踏み切る、というのは文字通りの「見切り発車」である。後で「ダメでした」となるかもしれず、その場合は投入した予算が無駄になる。とはいえ、アメリカの総人口は3億3000万人。たとえワクチンが完成しても、それだけの数量を用意できなかったら意味がない。事態はまさに「ワープスピード」を必要としていたのである。 そこで開発しながら治験をし、治験をしながら生産し、その間に配布から接種の計画を立てておく。そうでないと間に合わないから。いやもう「後手後手」批判が絶えない日本政府とはえらい違いである。もっともこれと同じようなことを日本でやろうとしたら、官僚は「法律にありません」と首を振り、野党は「失敗したら誰が責任を取るんだ!」といきり立ち、マスコミは「税金の無駄は許されない!」などとのたまうことだろう。

政府への批判は様々取り上げられています。
縦割り行政が悪い、デジタル化が遅れている、過去の教訓が生かされていない・・などなど。

私も企業経営者の端くれとして、政府に申し上げたいことはたくさんあります。
しかし、批判・攻撃・咎立は、心をギスギスさせます。
コロナ禍は、人の素を暴くことになったとも言われています。
足元を見つめ、やるべきことをやり、心が乾かぬように日々過ごしたいと思っています。

将来を思い煩うな。 現在為すべきことを為せ。その他は神の考えることだ。

高校の倫理社会で学んだ、アミエルの言葉を思い出しました。

そんな中、日本政府が提供したアストラゼネカのワクチン124万回分が、4日午後、台湾の空港に到着したというニュースを耳にしました。

台湾では5月中旬から感染が拡大している反面、ワクチンの調達が難航しているそうです。
蔡総統によると「海外の製薬会社からのワクチン調達が中国の妨害で難しくなっている」とのこと。

台湾といえば、東日本大震災のとき、真っ先に救いの手をさしのべてくれました。

いただいた義援金は総額200億円以上。
震災翌日から台湾各地で募金活動が展開され、日本の5分の1に満たない約2,350万人という人口を考えたとき、その額の大きさに驚きます。

支援は義援金だけではありません。

震災から5日後、3月16日。
白いズボンと白い帽子、背中に蓮のマークをつけた紺色のジャンパーに身を包んだ一団が、茨城県・大洗町に到着しました。
台湾の慈済基金会日本支部の人々で、トラックと自家用車を連ねて、被災地の人々に温かい料理を振る舞ったのだそうです。

また、2カ月後の2011年5月から半年間、台湾政府交通部観光局は「台湾希望の旅」として、岩手・宮城・福島県の被災者1,000人を無料で2週間台湾に招待する支援を行っています。
そして、震災復興が本格化すると東北に直行便を飛ばし、震災後最初に旅行客を送ったのも台湾だそうです。

これらの支援には、2,400人余りの犠牲者が出た1999年の台湾大地震の当日に、救助隊を派遣した日本への恩返しの気持ちが込められているとも言われています。

ワクチン提供の続報として、支援を受けた台湾市民から、台北の日本台湾交流協会台北事務所(大使館に相当)にたくさんの花が届いたと知りました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1319642b83dcaafdd27ff82d68784b4147a90421

こういった国境を越えての助け合いは、心温まる思いがします。

「用和為貴」。
和を用って貴しと為す。
人と人が仲良く協力しあうことが最も大切であるということ。
十七条憲法の第一条にある言葉です。

花といえば・・。
先日、古くから付き合いのある紙問屋の営業さんから、胡蝶蘭が届きました。
プレートには「還暦祝い」の文字。
過日ご紹介した紅白まんじゅうに続いて、お祝いをいただきました。
ありがたいことです。

生まれて初めて頂戴した胡蝶蘭ですが、ネットで調べてみると、大切に育てると長く楽しめるようです。

風通しが良く、エアコンの冷気が直接当たらない場所に置く。
ラッピングは外す(写真にはまだ写っていますが)。
水は控えめに。

日々喜びを感じながら、注意事項を頭に入れて育てていきたいと思います。