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182 道険笑歩

2020年のプロ野球は、新型コロナウィルスの影響で、変則的な開催を強いられました。
そんな中、私が応援する読売ジャイアンツは、リーグ連覇を果たしました。

8月下旬、広島戦で今季初の同一カード3連敗を喫しましたが、原辰徳監督はミーティングである言葉をナインに贈ったそうです。

道険笑歩。

道険しくとも笑って歩こう、という意味。

実はこの言葉、ボクシング元スーパー・フライ級チャンピオンの徳山昌守選手が作った言葉です。
以下は、紀伊國屋書店のサイトに掲載されている、徳山氏の著書「道険笑歩ー道険しくとも笑って歩こう」の著書紹介です。
出典:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784072344200

道険笑歩ー道険しくとも笑って歩こう

・徳山昌守【著】
・主婦の友社(2002/09発売)

著者等紹介
徳山昌守[とくやままさもり]
本名・洪昌守。1974年9月17日生まれ。在日朝鮮人3世のプロボクサー。現WBC世界スーパー・フライ級チャンピオン。4度の防衛に成功。足を使ったフットワークと左右のストレートが持ち味の右ボクサーファイター。在日朝鮮人を公言したはじめてのボクサーとして注目を集める。「2001年ボクシング年間表彰選手」の最優秀選手賞、「2001毎日スポーツ人賞」感動賞など受賞

出版社内容情報
自作の詩を盛り込んだ、書き下ろし自叙伝。世界チャンピオンいう重圧、在日朝鮮人として生きることを一身に受け入れた壮絶なドラマである。

「在日やからエライんか? チャンピオンやからスゴイんか?」―。自ら在日朝鮮人であることを公言したボクサーが背負った、あまりにも大きい重圧と反発。本書は徳山昌守の生きざまをたどる、壮絶なドラマである。数々の苦難を乗り越えて、ついにボクシングの世界で頂点に立った男。しかし、王者である限り、彼に安住の地はない。常に、終わりなきトーナメントを続けてゆくのだ。家族の支えと偉大な父への反骨精神、在日であることへの誇りと戸惑い。そんな心の葛藤を鮮やかに描き出した自作の詩50篇を掲載。タイトルにもなっている「道険笑歩」は彼の作った四字熟語。どんなに道が険しくても笑って歩こう―。チャンピオンとして、また「在日の星」として生きていくことを貫こうとする徳山昌守流哲学を象徴する言葉だ。夢を追いかける人、夢を失ってしまった人すべてに送る、渾身のメッセージ。

諦めない姿勢。
最善の準備。
そんなプロとしての厳しさ、過密日程を乗り切るタフさが要求される中でも、笑える余裕をどこかに併せ持とうと、監督は選手に伝えたかったのでしょう。
その言葉の通り、ナインは日々、円陣で笑い合い、喜びを分かち合い、優勝を勝ち取りました。

今年は、小さなウイルスに翻弄された激動の1年でした。
弊社も、オペレーターはテレワークにし、他の社員は時短勤務としました。
売上が落ちるなかで、雇用と給与を維持することに腐心しました。

東日本大震災以上の惨禍は、自分が生きているうちには起こらないと思っていました。
しかし、新元号「令和」の門出を祝ったその翌年、歴史的困難に陥るとは想像の余地もありませんでした。

そんな険しい年であるからこそ、笑うことが重要なのかも知れません。
免疫力を上げ、記憶力や判断力が活性化し、プラス思考を高めてくれるなど、笑いの効果は、様々指摘されています。

ある免疫学の医師は、ストレスを克服する最も簡単な方法は「笑うことだ」と述べています。
また、あるメンタルヘルスの専門家は、「ユーモアを大切にする」「意識的に笑う」といったポジティブな態度がコロナ禍でのメンタル維持に有効だと言い、ある産業医は、声を出して笑うことで、自分の中に溜っているものが解放され、少し楽になる感覚があると述べています。

笑う門には福来たる。

相手に笑顔をもたらすユーモアのある言葉は、業務が円滑に遂行するためのスパイスだと思います。
明日の仕事納めを前に、2021年はこんなキーワードも念頭に置いてみようか、などと考えています。

177 三密瑜伽

まもなく8月が終わります。
少し気の早い話題ですが、今年の流行語大賞は新型コロナウイルス関連が、大半を占めることになるでしょう。

濃厚接触、クラスター、オーバーシュート、ソーシャルディスタンス、ステイホーム、テレワーク、フェイスシールド、不要不急、オンライン飲み会、東京アラート、大阪モデル、8割おじさん、アベノマスク・・。

思いつくだけでも多々ありますが、私の中では「三密」が大賞候補です。
言うまでもなく、密閉・密集・密接です。

また、新たな三密という記事をどこかで読みました。
新聞だったか、ネットだったか忘れましたが、およそ以下のような内容で、感心しました。
  • 今後の人生や生活を綿密に考え直す
  • ソーシャルディスタンスを維持しつつ濃密な関係を築く
  • 人や場所とのつながりを親密に感じながら日々を楽しむ

以前のような生活がすぐに戻ることはないでしょうから、新たな生活様式を頭で理解し、実践していかなければならないでしょう。
それは詰まるところ「簡素」な方向へに舵を切ることになるのでしょうが、過度にならないようにしたいと思っています。

カミさんが早起きして作ってくれるお弁当は、美味しくて抜群に安全ですが、行きつけのお店で食べるランチは、仕事の気分転換に有効です。
デパ地下は、見ているだけで幸せな気分になります。
また、健啖家の義母を、大好きなホテルのビュッフェに連れていってあげたいなあ、とも思います。

様々な感染症を克服してきた歴史からも、この困難を賢く乗り越えられる日が来ると信じたいと思います。

ところで、そもそも三密には「空海がひらいた真言宗をはじめとする密教の教え」という意味があるそうです
そういえば、高尾山に「三密の道」と記された門があるという報道を思い出しました。
ネットを調べてみると、東京新聞6月16日WEB版に関連記事を見つけました。(https://www.tokyo-np.co.jp/article/35764)

「『三密』は、真言宗の教えにある言葉です」。
高尾山薬王院の法務部長、堀江承豊さん(61)が解説してくれた。「三つの密」とは、真言宗(密教)では「身密(しんみつ)」「口密(くみつ)」「意密(いみつ)」のことで、それぞれ正しい行い(身)、正しい言葉(口)、正しい心(意)を心掛けるための修行を指すのだという。
(中略)
堀江さんは「宗教的な意味と異なる『三密』が広まってしまった」と苦笑しながら、「本来の教えを今の生活に生かすこともできる」とも語る。「感染する恐れがある行為は行わない」(身密)「感染者や医療従事者らへの誹謗(ひぼう)中傷を行わない」(口密)「周囲の人にいたわりの心を持つ」(意密)−。気持ちがすさみがちな今だからこそ、「三密を意識することが大切なのではないでしょうか」と訴える。

悲しいニュースに心がざわつくこともありますが、自分の心と向き合いながら、真心を込めた行動や発言を心がけたいと改めて思いました。

終わりに・・、

世の男性たちの多くは、初めて「三密」と聞いたとき、壇蜜さんを思い浮かべたことと思います。
ワタシもその1人です。

『テレビから三密と聞こえると「呼ばれたかな」と反応してしまうんです』と語っていた壇蜜さんのコメントに、ほっこりした記憶があります。

また、「断密、ワタシからもお願い」という文言と壇蜜さんの写真をSNSで公開したファンがいましたが、写真の使用許可を得ておらず、法的問題が指摘されたそうです。

ところが、壇蜜さんの所属事務所は「こんな時代だからパロディで和んでくだされば」と寛容な姿勢を示したとのこと。

ギスギスした時代にあって、まさに、和みますね。

なお、「三密瑜伽」の「瑜伽」は、修行者の三密と仏の三密が互いに交じり、溶け合うこと、なのだそうです。

169 率先垂範

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、史上初めて緊急事態宣言が発令されました。
人と人との接触を8割減らすことが求められています。

多くの企業がテレワークを導入し、働き方が大きく変わりました。
そんな中、アドビシステムズが発表したテレワークに関する調査結果に目が留まりました。
最も興味深かったのは、「テレワーク実施に伴う業務上の課題は」という問いへの回答です。

第6位 「稟議や書類処理が遅れる」(23.3%)
第5位 「会議が非効率になる」(24.0%)
第4位 「データや情報管理にセキュリティが心配」(24.4%)
第3位 「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい」(35.0%)
第2位 「勤務場所にプリンタやスキャナーがない」(36.2%)

と続き、栄えある第1位は・・、
「会社にある紙の書類を確認できない」(39.6%)でした。

ここでも紙が悪者になっていることに、苦い思いがしました・・。

弊社は製造業ですから、100%テレワーク化は不可能ですが、オペレーターには自宅勤務を命じ、他の社員も時差出勤や交替勤務としています。
そもそも少人数なので、勤務体制変更の弊害は小さくありません。
しかし、今は接触を減らすことを最重要課題とし、人と社会を守る努力を重ねていきたいと思っています。

さて、新型コロナウィルスに関する政府の対応について、批判の声が日に日に強くなっているようです。

国民への給付金支給ではその方法で迷走し・・、
多くの国民がマスクの手作りを始めた頃、多額の費用を投じて布マスクを配布し・・、
医師会や東京都に比べ、緊急事態宣言発出の決断が遅いと指摘され・・、
そんな中、首相は自宅でくつろぐ画像をミュージシャンのSNSとコラボし・・、
剰え、首相夫人は大分の神社を集団で参拝し・・・・。

国難ともいえる現在の状況をリードしていく政治家は、それはそれは大変だと思います。
ただ批判するだけのコメンテーターに比べたら、その苦労は説明するまでもないでしょう。

ただ、敢えてひとつ申し上げるなら、政治家の金銭感覚には不満を覚えます。

先日、国会議員の給与を2割削減すると発表がありました。
しかし、調べてみると、給与にあたる議員歳費約1,550万円が1,240万円へと2割カットされただけで、ボーナスや立法事務費などは何ら変わらず、結果として4,170万円の年収が3,860万円になるのだそうです。

自粛を要請する側は経済的に大した影響は受けず、自粛要請を受ける側は存続の危機に直面していることに、不公平感を禁じ得ません。

この難局を脱するために、朝から晩まで、日曜祝日返上で対応策を考えている‼
そして、オレたちは給料もボーナスも返上する‼
そのお金は、生活に苦慮している方や医療従事者への支援に充当する‼
だから皆も頑張って欲しい‼

と与野党の垣根を超えて政治家がメッセージを出したなら、国民の受け止め方は変わるのではないかと思うのです。

世界を見渡すと、台湾やニュージーランドなど、政府の対応が国民から大きな支持を得ている国もあるようです。

国内でも、大阪や北海道の知事には、地元から絶大な信頼が寄せられています。
最近頻繁に発表される大都市における人出の減少数において、大阪・梅田がトップなのは吉村府知事の力によるところも大きいのかも知れません。

リーダーの資質について、嵩高に物を言うつもりは毛頭ありませんが、痛みを共有する心は大切にしたいと思っています。

168 安居楽業

2年前、京都へ紅葉見物に行きました。
時間に限りがありましたので、嵯峨野地域に限定して散策しました。
その際、二尊院を参拝し、3枚の色紙を拝領いたしました。

その1枚が上の「人生五訓」です。
短い5つの戒めの言葉に、いたく感動しました。
焦るな、怒るな、威張るな、腐るな、怠るな、と漢字で書いていないところもちょっといいですね。

近年、仕事が多忙になった時、ふと立ち止まってこの「人生五訓」を思い返すようにしています。今は年度末ですから、年間で最も忙しい時期です。
今朝も仕事の前に、自らに言い聞かせました。

年度末といえば、近年、3月になると製本所が異常なほど繁忙を極めます。
平日の残業はもとより、土・日も祝日も出勤しないと仕事が消化できません。

ペーパーレスによる印刷業界の低迷で、製本所の数は年々減少しています。
仕事量が全体に減っていますから、平時はどうということはありません。

しかし、年度内納めが極端に集中するこの時期だけは、業者数が減ったことで、現存の工場が一気にパンクするのです。

ところが、怒濤の3月が終わり、カレンダーを1枚めくると、潮が引くように仕事がなくなります。
これでは、3月の頑張りが報われず、空しい限りです。

話を二尊院の色紙に戻します…。
もう1枚の色紙には「心の糧七ヵ條」が書かれています。

一、此の世の中で一番楽しく立派なことは生涯貫く仕事をもつことである

一、此の世の中で一番さみしいことは自分のする仕事がないことである

一、此の世の中で一番尊いことは人の為に奉仕して決して恩に着せないことである

一、此の世の中で一番みにくいことは他人の生活をうらやむことである

一、此の世の中で一番みじめなことは教養のないことである

一、此の世の中で一番恥であり悲しいことはうそをつくことである

一、此の世の中で一番素晴らしいことは常に感謝の念を忘れずに報恩の道を歩むことである

生涯貫く仕事といえば、私の父が正に実践中です。
87歳にして毎日出社しています。
私には87歳の景色は想像もできませんが、日々自らを鼓舞し、社会の一員であり続けているのだと思います。

つい先日、ある病院の教授から、なぜ会社名が“伊豆”なのか、と質問を受けました。
丁稚奉公として上京したときから、いつか故郷の名を配した会社を興したかったという父の夢をお話ししたところ、「それは素晴らしい」とお誉めいただきました。

弊社は、この3月で45年目を迎えました。
印刷業界は逆風にさらされていますが、そんな中、仕事をいただけるのは有難いことです。
色紙の最後の1行にもある通り、感謝の念を忘れてはなりません。

そして、零細企業とて、守るべき社員とその家族がいます。
社員が安居楽業できるようにすることも、社長の重要な務めです。
安易なことではありませんが・・。

「安居楽業」:
今いる環境や状況に心安らかに満足し、自分の仕事を楽しんですること。自分の分をわきまえて不満をもたず、心安らかに自分のなすべき仕事をすることをいう。(goo辞書より)

166 夏炉冬扇

今日はトイレについて書き散らします。
ネタがネタだけに、いつにも増して低劣になることを心していただきたく存じます。

近年、公衆トイレに、下図のような「あさがお」が心なしか増えているように思います。
初めて使用した時、便器に近づきやすい構造だなと感じました。

出典:LIXIL公式サイト(https://www.lixil.co.jp/lineup/toilet/hl/sensor_stall_urinal/)

LIXILの公式サイトによると「近寄りやすく使いやすい形状」に設計されているそうです。
設計者の意図を、私はしっかりと汲み取ることができた、という訳です。
そして、こんな説明がついていました。

手元はゆったり、足元はすっきりのアプローチしやすいデザイン。天面はカーブ形状で鉢内を確認でき的外ししにくく、他人からの視線が気になりにくいよう、しっかりストールを配置。

「的外し」。
さすが専門業者。
説明しづらいことを、さりげなくスマートに表現しますね。
なかなか心憎い形容です。

心憎いといえば・・・・、
10年以上前、レストランのトイレで用を足していた際、「あさがお」のすぐ上にこんな貼り紙を見つけました。

Please come close. Your Tomaholk is not so big.

こういうトーンだと素直に協力する気になりますね。

人はダメと言われるとかえって興味を掻きたてられ、逆の行動に走るという心理現象があるそうです(カリギュラ効果)。
浦島太郎は箱を開けてしまったし、鶴の恩返しでは心騒ぎを抑えられず機織り中の娘を覗いてしまいましたね。

この頃の「あさがお」は近づきにくい形状だったため、必然的に掃除が大変だったのでしょうか。
あるいは、心ないお客さんが多いために業を煮やしたのでしょうか。

使用する側は、自宅のトイレと同じ心積もりで用を足さねばいけませんね。

心積もりといえば・・・・、
ここ数年、会社のトイレ掃除を進んで行うようにしています。
ずっと女性社員に任せてきましたが、これではいけないと遅まきながら改心したのです。
自分で掃除をしてみると、その苦労が分かります。
30年以上も汚すだけの立場だったことを、今更ながら心苦しく思っています。

心苦しいといえば・・・・、
私は目黒雅叙園で結婚披露宴を行いました。
ここの1階にあるトイレは、用を足すのが心苦しいと感じるような豪華さです。

工費1億円とも噂されるトイレには、川が流れ、朱塗りの橋が架かっています。
個室のドアも朱塗り。
天井には金箔に包まれた美人画。

日本一きらびやかでゴージャスなトイレではないでしょうか。

披露宴に招いた友人には「必ず1階のトイレに入ってから帰ってね」と伝えました。
ひょっとしたら、皆の心に残ったのは宴よりもトイレだったかも知れません。

心に残るといえば・・・・、
つい先日、偶々、絶景トイレに巡り会いました。

大丸東京店の12階、レストランフロアにある男子トイレです。
トイレの突き当たりには「あさがお」が2つあります。
ここに立つと、東京駅丸の内側が見渡せる大パノラマが目の前に広がります。

丸ビル、新丸ビルが聳える手前には、東京駅のホームも見えます。
心なしか、ホーム上で電車待ちをしている人に向かって放★しているような感覚に陥ります。

ただし、くれぐれも周囲を汚さぬよう心を配りながら、景色を楽しむ心持ちが大切かと思います。

137 不撓不屈

サッカーワールドカップロシア大会が始まりました。
私は野球少年でしたので、サッカーについてはあまり詳しくありませんし、熱狂的にはなれないのですが、さすがに昨日のコロンビア戦はテレビ観戦しました。

新聞各紙が歴史的勝利と掲載していましたが、まさにその通りですね。
FIFAの公式サイトでは、どのように報じられているのか覗いてみると、トップページには、決勝点を決めた大迫選手の写真とともに、以下の文字が躍っていました。

Hosts march on as Japan, Senegal break new ground

後半のセネガルに関する文言は置いとくとして、「Hosts march on as Japan」の意味が全く理解できません・・。
「Hosts」がまず分かりませんし、「march on」を見て「3月に何かあったか?」と思う始末です。
英語力の無さに愕然とするばかりです。

でも、その後の文章はそこそこ理解できました。

世界ランキング61位の日本と27位のセネガルが、16位のコロンビアと8位のポーランドに各々勝利した。
侍ブルーは、試合開始早々3分、相手選手のハンドで1人有利な状況になったが、これは1986年メキシコ大会のバティスタ選手に次いで、ワールドカップ史上2番目に早い記録だ。

みたいなことではないかと・・。

それはそうと、この試合は、スポーツは何が起こるか分からないことを如実に示した一戦になりましたね。
開始早々に相手チームにレッドカードが出て、PKで先取点を獲得すると、誰が予想し得たでしょうか。

「10人の相手に勝っただけ」という辛口のコメントもあったようです。
しかし、私は選手たちは立派だったと思います。

その理由は、想定外の事態に対応できたからです。

失うものなど何もないと思っていたら、相手が先に1点プレゼントしてくれた。
そして、人数も有利な状況になった。
しかも、試合はまだ始まったばかり。

苦戦と予想された一戦が、はからずもその様相をガラリと変えてしまったのです。
予期せぬ状勢となったにも関わらず、勝ちきった日本代表選手は、賞賛に値すると思います。

正直なところ、「どうせ負けるんだろうけど・・」と思いながらテレビを見ていました。
イギリスのブックメーカーが公開した勝敗オッズは、コロンビアの勝利が1.70倍、引き分けが3.50倍、日本の勝利は5.50倍でしたから、私の諦めモードは、まんざら間違っていなかったのかも知れません。

そんな時、私の尊敬する大先輩が、「諦めないけど頑張らない姿勢が好きだ」と仰っていたのを、ふと思い出しました。

最近、仕事で諦めていたことはなかったか?
諦めていないことと、頑張っていることを、履き違えていないか?

サッカーの試合結果が、日常を見直すきっかけになりました。

131 百花斉放

新聞の大学特集ページで、母校に昨春「都市科学部」が新設されたことを知りました。
この学部は、以下4つの学科を有しているそうです。

  1. 都市を担う人々や文化、社会のあり方を考える「都市社会共生学科」
  2. 都市空間やコミュニティ、生活像をデザインする「建築学科」
  3. 土木工学を軸に防災や環境などの課題に取り組む「都市基盤学科」
  4. 都市の利便性と自然・社会環境から生じるリスクとの均衡を図る「環境リスク共生学科」

建築学科については、横浜高等工業学校建築学科を前身とする歴史ある工学部の理念やノウハウが生かされているのかも知れません。
しかし、これら学科についてサイトをよく見てみると、文系・理系両方の要素を含んでいて、今ドキな印象を受けます。
新聞記事にも、文系と理系を横断した「文理融合」の人材育成が謳われています。
先行研究の少ない、いわば挑戦的な領域でもありますので、今後の発展を期待したいものです。

昭和55年4月。
私が入学したときは、経済学部、経営学部、教育学部、工学部の4つの学部で大学は構成されていました。
そして、私の所属していた経営学部には、経営学科、会計学科、管理科学科の3つの学科がありました。

しかし、設立50周年を迎えた昨年、1学科体制で新たなスタートを切ったようです。
サイトには「特色ある施設・プログラム等」というタイトルで、現在の学部の様子が以下のように紹介されています。

◎経営学部情報センター
100台余りのPC端末が備えてあり、PCを利用した会計教育や英語教育、ビジネスゲームなどを行っています。また、情報検索、情報発信、研究・学習サポートなども行っています。

◎充実した体験型授業
「ビジネスゲーム」では、コンピュータ上に構築された仮想的マーケットの中で、複数の学生が企業の経営者として商品の生産、仕入れ、販売を行い競い合います。また、「マイプロジェクトランチャー」では、学生自らプロジェクトを作成、プレゼンを行い、プロジェクト実践能力を磨いていきます。

e-ラーニングによる効果的な学習
2年次必修外国語科目「英語演習」の課外の自習課題「アルクNet Academy」は、パソコンで行います。これは、TOEIC対策の自習プログラムで、リーディングとリスニング及び模擬演習問題のトレーニングができます。その他にも会計CAIなどパソコンを使った効果的な学習を行うことができます。

企業トップを講師に迎えた講義群
一般的なプログラムの他に、「経営者から学ぶリーダーシップと経営理論」、「ベンチャーから学ぶマネジメント」といった毎週代表取締役クラスの経営者を迎え、様々な角度から企業経営を学ぶ授業があります。インターンシップはこれらの授業を履修してから行います。

PCを利用したビジネスゲーム?
仮想マーケットで学生が経営者として競い合う??
経営者から企業経営を学ぶ???

我々の頃には考えられない授業内容の羅列に、我が目を疑ってしまいました。
35年も経っているのですから、変わって当然なのですが・・。

横浜国立大学は、元々、鎌倉や弘明寺などにキャンパスが分散していましたが、昭和49年8月、程ヶ谷カントリー倶楽部移転跡地に常盤台キャンパスを設置し、これらを統合・移転しました。
私が入学する6年前のことです。

実際、受験前に初めて見学に訪れたとき、学内は総じてキレイでした。
「こんなキレイなキャンパスで勉強できたらいいなあ」と、若干感動すら覚えたものです。
純粋というか無垢というか、受験勉強で心が病んでいたというか・・。

そんな清らかな気持ちで受験したにも拘わらず、入学後は、受験勉強に明け暮れた日々の仇をとるかの如き、遊惰でなまくらな生活に陥りました・・。
入学が決まった時、父から「国の税金を使わせていただくことを肝に銘じて、4年間過ごすように。」と言い付けられたにも関わらず・・。
当時の授業料は年間18万円でしたから・・。

今日は、3月4日。
昭和55年の今日、国立大学の二次試験だったと記憶しています。

共通一次試験の点数で劣っていた私は、ここで大逆転劇を演じなければなりませんでした。
二次試験の願書提出にあたり、過去の入試統計と予備校の自己採点資料をとことん研究し、180人抜き去る必要があるという、実に厳しい結論に至ったのです。

「あそこからあそこの列までの受験生に勝たないとダメなんだな。よ~し!!」

試験会場で、めちゃめちゃ気合いが入っていたのを覚えています。
しかも、38年も前のことが、まるで昨日のことのように思い起こされます。

結果としては・・、
繰り上げ合格だったので・・、
150〜160人くらいしか、逆転できなかったのではないかと思います・・

私の母校は、総合大学と呼べるほど大きな規模ではありませんが、それでも経済・経営・教育・機械・海洋・造船など、様々な分野の学問を学ぶことが可能でした。
しかしながら「大学生は、時間がたくさんあって、お金がちょっとあって、責任がない!」などと傲語していた学生時分を恥じるばかりです。

この歳になって、もっと勉強しておくべきだったと痛感しても、後の祭りですね。

128 心定理得

週末、会社のオンデマンド機を入れ替えました。
現在のマシンのリースがまだ残っていたのですが、機能が向上した上位機種を導入することにしました。

設置前に、200ボルトへの電源工事が必要でした。
業務に支障を来さないよう、金曜日夜7時から施工していただきました。
遅い時間や週末の作業依頼が多い電気工事の方は、大変ですね。
ついでに、という訳ではありませんが、トイレのコンセントがブラブラしていたので見ていただいたところ、気持ちよく修理してくれました。
すべての作業が終わったのは、午後9時半過ぎでした。

そして、土曜日。
いつもより少し遅めの7時過ぎに出勤すると、ゼロックスの担当者が9時過ぎに来社。
その後、10時頃から搬出と搬入が始まりました。

水平を測ったり、部品を取り付けたり、色調整をしたり、プリンタドライバをインストールしたり、以前のマシンからジョブを移行したり・・。
多くの作業を抱えるなか、一部円滑に運ばなかったところもあり、終了したのは予定の午後3時を大幅に超え、まさかの8時でした。

加えて、日中、私をひどく悩ませてくれる事件がまたもや舞い込み、土曜日帰宅後はヘナヘナでした。

夜の8時や9時・・と思われるかもしれませんが、毎朝6時半(今週は雪の影響もあって6時)に出勤している朝型人間の中年男には、降雪から始まったこの1週間は些かハードでした。

なおもってまずかったのは、その夜です。

夕飯もそこそこに風呂に入り、浴槽で「ふう・・」とため息をついたとき。
補聴器を付けたまま風呂に入ってしまったことに気づき、急いで外そうと左耳を触ったところ、肝心の補聴器がないのです。

あれ?今朝は久々に補聴器付けたよな・・」

先週末から風邪気味で毎日マスクを付けていたので、今週は補聴器を装着していませんでした。
というのも、補聴器とマスクを同時に付けることは可能なのですが、マスクを外すと補聴器も一緒に取れてしまうので、今週は補聴器を装着しなかったのです。

「でも今朝は間違いなく装着したはずだよなあ・・」
「帰宅する前に外した記憶はないしなあ・・」

その時点で、保管ケースを確認するなり、脱衣カゴ周辺を探すなりすれば良かったのですが、疲れていたことと、精神的にややイライラしていたこともあり、浴槽で疲れてぐったりしてしまいました。

そして、風呂でリフレッシュし、補聴器のことをすっかり忘れ、パソコンに向かって仕事をはじめてしばらく経った頃。

「おとーーさあーーん!!」

カミさんの声のテンションがいつもと違います。

「補聴器、洗濯機で洗っちゃった!脱水もかけちゃった!!どこに置いてあったのか、全然気付かなかった!!!」

シャツを脱いだとき、一緒に落下して、衣服に紛れたようです。

取り敢えず装着してみると・・、
やはり作動しません・・・・。

補聴器、22万円でした・・。

社員によく言う「確認」。
やっぱり「確認」はすぐやらねばダメですね。
風呂から上がってすぐなら、脱衣カゴで発見できたはずです。

「行動や道理を正しく、心を安定させよ」という神様のお告げですね。

114 徳量寛大

「注文をまちがえる料理店」という店の存在を最近知りました。
有名な小説のパロディでユニークな店名ですが、この店の正体は・・・・、

一言でいうと「注文を取るスタッフが、みんな“認知症”のレストラン」です。認知症の人が注文を取りにくるから、ひょっとしたら注文を間違えちゃうかもしれない。だから、あなたが頼んだ料理が来るかどうかはわかりません。でも、そんな間違いを受け入れて、間違えることをむしろ楽しんじゃおうよ、というのがこの料理店のコンセプトです。

プロジェクトを立ち上げた小国士朗氏のサイトより
(https://forbesjapan.com/articles/detail/16640)

だそうです。即ち・・、
ハンバーグを注文する。でも、実際に出てきたのは餃子。
最初から「注文を間違える」と言われているから、間違われても嫌じゃない。
いや、むしろ嬉しくなっちゃうかもしれない。
そしてなにより、「間違えちゃったけど、ま、いっか」。
認知症の人も、そうでない人もみんながそう言いあえるだけで、少しだけホッとした空気が流れ始める・・。

イヤ〜、この発想力には脱帽です。
「逆手に取る」とは正にこういうことですね。
このような頭の柔軟さは、すぐには真似できなくても、常に意識しておきたいものです。

さて、この店が実際に開くと、ひとりのお客さんに水を2つ運んでしまうのは当たり前。
サラダにはスプーン、ホットコーヒーにはストロー。
注文を取りに行ったのかと思ったら、昔話に花を咲かせてしまったり・・。

でも、間違った料理が出てきてもお客さん同士で融通しあったり、話し込んでしまうおばあちゃんとそのまま和やかに談笑したり・・。
誰一人として苛立ったり、怒ったりする人はおらず、あちこちで、たくさんのコミュニケーションが生まれ、間違っていたはずのことがふんわり解決していく光景が広がっていたそうです。

実は、このプロジェクトは、6月上旬に2日間だけのプレオープンでした。
次は、9月21日の世界アルツハイマーデーの前後で、本オープンを実現させるべく努力しているところだとか。

そして、前出の小国氏曰く

僕はこれまで数多くの社会課題を取材してきましたが、その中で一つ思っていたことがあります。それは「社会課題は、社会受容の問題であることも多い」ということです。

もちろん社会課題解決のためには法律や制度を変えることが重要なのは当たり前です。でも、僕たちがほんのちょっと寛容であるだけで解決する問題もたくさんあるんじゃないかなぁとも思っていました。例えば、電車に乗せるベビーカーにキレたり、同性婚の是非みたいな議論などは、社会の受容度、寛容度が高ければ解決することも多いように思います。

確かに、最近不寛容な空気が広がっていると言われています。
「子どもの声は騒音だ」「ラジオ体操がうるさい」という苦情が寄せられているといった類いのニュースはよく耳にしますし、一つの過ちや失言をめぐって個人や組織が寄って集ってバッシングされる傾向もあります。
以下は、お祭りに関するほんの一例です。

①愛知県東海市で開催される夏祭りでは、盆踊りの一部を無音にし、FMトランスミッターで飛ばされた音楽を、踊り手は携帯ラジオとイヤホンで受信して踊っている。

②阿波おどりで知られる徳島県では、ここ数年、河川敷や公園で行われる練習の音に対して「うるさい」などの苦情が県庁等に寄せられている。

③都心では練習場所の確保が非常に困難なため、太鼓や笛の練習をライブハウスで行ったり、声が外へ漏れぬよう窓を閉めきった蒸し風呂状態の体育館で踊りの練習をしている。

ん・・、時代と共に地域住民の共同体意識が希薄になってきたのでしょうが、息苦しい世の中になったという印象は否めませんね。

「寛容」とは、広辞苑によると「①寛大で、よく人をゆるしいれること。咎めだてせぬこと。②善を行うことは困難であるという自覚から、他人の罪過をきびしく責めぬこと。キリスト教の重要な徳目。③(tolerance)異端的な少数意見発表の自由を認め、そうした意見の人を差別待遇しないこと。」とあります。

支配的ではなく、かといって無関心ではなく、受け容れる心を持つことは難しいことですが、普段の生活の中で心掛けていきたいものです。

110 皇統連綿

6月9日、天皇陛下の退位を認める特例法が、参院本会議で自由党を除く与野党の全会一致で可決、成立し、光格天皇以来約200年ぶりの退位に向けて第一歩を踏み出しました。
退位は陛下一代を対象としていますが、政府は、将来の先例となり得るとの見解を示しています。

昨年夏、陛下は、年齢と健康問題を理由に、在位30年を節目として譲位する意向を示されました。
しかし、天皇は憲法第4条で「国政に関する機能を有しない」と定められているため、陛下の「お言葉」を理由に法律を作ると憲法違反の疑いが生じることから、特例法の第1条には、以下の文言が含まれています。

・・・国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、・・・

主権者である国民の理解に基づいた法律であることが強調されている訳です。

一方、昨年開かれた有識者による会合では、「天皇は祈るだけで他に何もしなくてよい」「存在するだけで有難い」という意見があったと知り、非常に違和感を覚えました。

話の本質としては、棟梁が「もう歳だから後進に道を譲る」と言っているのですから、下で働く職人たちはその道筋をつければよいと思うのです。
隠居すべき、隠居すべきでないと議論するのは、筋違いなのではないかと・・。

最終的には、世論に押されて成立の運びになったと言っても過言ではないかと思います。

また、女性宮家の創設も重要な課題となっています。
自民党内では慎重論が強いようですが、私は必要ではないかと思っています。
ただ、眞子さまがご結婚されて民間人になられた後に、佳子さまや愛子さまが皇族の地位にとどまられたりすることになると、これも問題だと思います。

また、陛下の孫の世代で、男性皇族は悠仁さまだけですから、いずれ、相当量の公務を悠仁さまが抱えることになるのではないでしょうか。
安定的皇位継承や皇族減少への対策は、いち早く検討すべきだと思います。

今後の日程は、2019年元日に「平成」を改元する案を軸に、進んでいくようです。
ただ、印刷業としては、事前に改元が決定していると「特需」が発生しないなと感じたりします。
突然元号が変わった方が、刷り直しによって印刷業界が少し潤うかと・・・・。
些か不謹慎ですね。発言撤回します・・。

200年ぶりに行われる儀式に立ち会えることを、素直に、楽しみにしたいと思います。