月別アーカイブ: 2014年11月

021 愉快活発

日本最古の活字を見たくて訪れた圓光寺さんでのこと。
拝観料を納めるとき、『御朱印 300円』という文字が目に入りました。

そう言えば、以前雑誌『HANAKO』で御朱印に関する対談記事を読んだものの、ちょっと敷居が高いような感じがして、十分消化しないままにしていました。

御朱印帳を用意しないといけないとか、浄土真宗のお寺ではいただけないとか、常識やマナーをまずは勉強しないとダメだな、という印象を抱いていました。

でも、圓光寺さんで私が見たのは、A5ほどの用紙に既に日付も記入されたもの。

勇気を出して『拝観料と御朱印もお願いいたします』と申し上げると、お寺のパンフレットと一緒に、袋に入った御朱印を下さいました。

奉拝 平成廿六年十一月十五日
南無千手観世音
瑞巌山 圓光寺

そう書かれた墨文字と朱色の印が織りなす芸術品・・。
記念すべき御朱印第一号を手にしました。
遠い昔の偉人と、少し繋がったような感覚がしました。

続いて訪れたのは詩仙堂さん。
拝観料を納めて中へ進むと、
『先に本堂を見学してください。あとから戻ることはできません。
とのアナウンス。

靴を脱いで本堂へ進むと、絵はがきなどと一緒に並べられた御朱印を発見。
しかも、圓光寺さんと同じスタイル。

『御朱印を頂戴したいです。』

ほんの少し「こなれた感」を漂わせて、初穂料300円を納めました。
わずか30分ほどで、2枚の御朱印が私の鞄に仕舞われました。

この日、最後の目的地は赤山禅院です。
ぜひここでも御朱印を頂戴したいと思っていると、
「御朱印は福禄寿殿でお渡しいたします」との看板発見。

アレ?ここは七福神に関連しているのかしらん・・。

私はそんなことも知らずに訪れていました・・。
掛け寄せ(集金)の神さんであることは予習していましたが、ここが全国の七福神めぐりの発祥とされる都七福神のひとつ、福禄寿のお寺であることを知らなかったのです。

福禄寿殿でお参りをしたあと、
「御朱印をお願いします。」
その口調は、超初心者であることを忘れているかのようでした。
すると・・、

「御朱印帳はお持ちですか?」

「あっ、あの〜、忘れました・・。というか持っていません・・。」

「そちらにある御朱印帳はイラスト入りでお奨めです。いかがですか?」

「はい、ぜひお願いいたします。」

即答でした。2,000円お納めしました。
若干ドヤ顔になっていた私に、冷や汗が襲いました。
赤山禅院さんは、書き置きではなく、その場で書いて下さるようでした。

予定していなかった御朱印集めでしたが、3つの御朱印を眺めていると何故か有難い気持ちになってきます。
思い切って圓光寺さんでお願いしてみて良かったとつくづく思います。

私の購入した御朱印帳は、都七福神のイラストが書かれていて、そのとなりに御朱印が書けるようになっています。
毘沙門天は東寺、弁財天は六波羅蜜寺、布袋尊は万福寺・・。
都七福神の御朱印はぜひ集めたいと思っています。

帰ってきたばかりなのに、もう行きたくなってしまいました。

020 温故知新

京都日帰り旅の続きです。

清水寺や南禅寺など、中心部に位置している有名どころは外し、観光客が少なめで紅葉が進んでいるところはないものか・・、出発前、ネットやガイドブックでいろいろ調べました。

なるべく北へ行った方が色づきが進んでいるのではないかと思い、一乗寺・修学院エリアに狙いを定めました。

そんな中、圓光寺さんというお寺さんを見つけました。
正直、これまで知らなかった寺院でした。
十牛之庭(池泉回遊式庭園)、奔龍庭(枯山水)、水琴窟、紅葉・・。
見どころ満載の魅力的なお寺さんのようです。

そして、もうひとつ。

ここには、日本最古の印刷用木活字が保存されているのです。

私も印刷業の端くれです。大いに興味を抱きました。

昼食後、叡山電鉄一乗寺駅で下車し、歩くこと約15分。
圓光寺さんに到着しました。

拝観料500円を納めて、本堂へ。
重要文化財でもある日本最古の活字とご対面です。

結構大きなサイズで、2号とか3号くらいに見えました。
漢字もカナもありました。般若心経を組んだものもありました。
カナは「いろは順」ではなく「五十音順」で並んでいましたね。

日本最古の活字を前に、印刷のルーツに出会ったようで感動しました。

ところで、拝観料を納めた際にいただける圓光寺さんのパンフレット。
これがとってもスマートなのです。
A4やB5の三つ折りといった体裁はよく目にしますが、
圓光寺さんは、140ミリの正方形で、12ページ・中綴じなのです。

紙はダル系の135kgベース。
モノトーン調の瀟洒な表紙に、写真とテキストをすっきりレイアウトした本文。
デザイナーの優れた感性を感じるアートなパンフレットです。

それから圓光寺さんのオフィシャルサイトもぜひご覧下さい。
華美ではないけれど凄艶で、美的センス溢れるWEBです。

Facebookもあります。この時期は紅葉のニュースが楽しめます。

日本最古の活字を所蔵しているお寺さんだけあって、パンフレットをはじめ、ホームページもFacebookも、秀逸な出来映えです。

同業の大先輩から、印刷業はこうあるべし、と学んだ気がいたしました。

019 千客万来

一昨日の土曜日、日帰りで京都に行ってまいりました。
しかも、初めてのひとり旅です。

始発の次、06:06分東京駅発の新幹線の座席を確保。
私ひとりですから、04:30過ぎに起床する勝手気ままなスケジュールを組みました。
ところが、東京駅に着いてみると新幹線が発車を見合わせているとのアナウンス・・。
05:30過ぎに、新横浜駅で車両の上に人がよじ登って停電を引き起こしたそうです。
結局出発したのは約1時間遅れの07:10・・。
ちょっと残念なスタートでした。

予定より80分ほど遅れて、京都駅に到着しました。
京都には、我が家にとって大切なお寺さんがあります。
「京の世継ぎさん」とも呼ばれている、上徳寺さんという小さなお寺さんです。
結婚して8年、子宝に恵まれなかった私たち夫婦に、息子を授けてくださった有難い、ありがたい、お寺さんです。
「ここには君の神様がいるんだよ」と小さいときから言われている息子は、上徳寺さんに来ると神妙な顔をします。
子供ながら、なにか感じることがあるのでしょう。

この日も最初に訪れたのは上徳寺さんです。
今回の旅の大きな目的のひとつが、ここ上徳寺さんの参拝だからです。

ご加護のお陰で息子も無事に11歳。中学受験もだんだん近づいてきました。
元気に受験の日を迎えられますように、とお願いしてまいりました。

それから、商売の神様「伏見稲荷大社」を参拝しました。
社員の健康と社運上昇を祈願してまいりました。

昼食はカレーうどんで人気の「日の出うどん」さんと決めていました。
朝の事故の影響で予定より遅れていたため、伏見からタクシーで向かいました。

11:15、目的地に到着。開店は11:00です。
残念・・、大行列です・・。ざっと20人以上は並んでいました。
仕方なく、もう1件の候補に急遽向かい、どうにか食事にありつけました。

秋の京都は紅葉目当ての観光客で賑わいますが、真っ盛りというにはこの時はまだ早く、「色づきはじめ」という評価が目立ちました。

それでもたくさんの人が訪れていました。
外国人観光客も、ものすごく多く見かけました。
観光地・京都の人気はすごいですね。

ちなみに・・、
☆朝、京都駅のタクシー乗り場では乗車まで15分ほど待ちました。
☆路線バスは、お客さんが乗れないほどの混雑でした。
☆京都駅近くのコインロッカーは「使用中」ばかりでした。
☆スターバックスではお客さんが店の外にあふれていました。
☆蹴上のホテルの喫茶も待ち時間でした。

桜や紅葉が古都を彩る季節に訪れたい気持ちと、少し空いている時期にゆっくりと寺社を巡りたい気持ち。
難しいですね。

午後、洛北方面を巡った話は、改めてご紹介したいと思います。

018 風樹之嘆

先日、私の幼なじみのお母さんが亡くなりました。
小学校の同級生のお母さんですから、小さい頃からとてもお世話になった方です。

私が大学生の時。
デビューした頃の島田紳助さんのような髪型をした私は、友人と地元を歩いていました。

「あの子、ラーメン屋の出前持ちみたいな髪の毛してるけど、国立大学通っているのよ。」

私を見かけたそのお母さんは、近所のお友達にそう言ったそうです。
そうなんです、そんな遠慮の無い間柄なのです。
子供の頃から私を見知っているので、なんでもお見通しなのです。

大切な方の葬儀に参列するのは、時の流れとともに不可避なこととはいえ、悲しいです。

その同級生はお父さんを15年前に亡くしています。
不運にも、53歳にして、両親とお別れをしたわけです。

私は幸いにも両親が健在です。
父親は81歳にして、まだ現役です。
毎日仕事をしています。
車の運転が少し心配ですが・・。

母は料理が上手で、たまにご馳走になっています。
カミさんには申し訳ないけれど、やはり母の料理は絶品です。

「親孝行したいときに親はなし」

同級生を見回しても、両親が揃っている方が少なくなっているようです。
他人に迷惑を掛けずに生きていくこと。仕事をきちんとすること。
これが一番の親孝行なのかも知れませんが、今できることを再考したいと思います。