月別アーカイブ: 2017年10月

123 才子多病

幼い頃悩まされた自家中毒という病が一段落すると、次は、起立性調節障害という病気をいただきました。
学校の朝礼などでずっと立っていると、貧血のような状態に陥り、頭がフラフラして立っていられなくなるのです。

バタンと倒れてしまうことはありませんでしたが、近くの友達に「ゴメン、ダメ」とサインを出すのが常でした。

この起立性調節障害、Orthostatic Dysregulationを略してODと呼ばれています。
思春期に起こりやすい自律神経機能失調と考えられていて、急激な身体発育のために自律神経の働きがアンバランスになった状態、と説明されています。
主たる症状は以下のとおりです。(引用:http://inphs-od.com)

  1. 朝に起きられない
  2. 立ちくらみ
  3. 全身倦怠感
  4. 食欲不振
  5. 立っていると気分が悪くなる
  6. 失神発作
  7. 動悸
  8. 頭痛
  9. 夜になかなか寝つけない
  10. イライラ感・集中力低下

私の症状は、4と5でした・・。

検査をしても異常がなく、医学的に説明がつかない症状を「不定愁訴」というのだそうです。
起立性調節障害は、血液検査など一般的な検査では異常がみつからないため、不定愁訴と同じように扱われることがよくあるとのことです。

この病気に小児科医が注目を寄せ始めたのは1960年代だそうですから、1961年生まれの私が、単に「ひ弱な子供」として処理されずに起立性調節障害と診断されたことは、運が良かったと言えるかも知れません。

また、ODの子供たちの約3割は不登校を合併しているそうですから、私よりもっともっと深刻なケースも多いでしょう。
不定愁訴が疑われる子どもに対して、医師は起立性調節障害かどうかしっかりと診断して欲しいと切に思います。

そういえば、印象的な出来事がひとつあります。
小学校5年生頃、体育館で校長先生の話を聞いていた時のことです。

「おい、山田、大丈夫か?」
「え???何のことですか???」
「何言ってるんだ、お前、いつも具合が悪くなるじゃないか。」
「はあ、今日は全然平気です・・。」

担任の先生に声を掛けられるまで、その日は何の異常もなく、至って元気でした。
ところが、声を掛けられたことで「思い出してしまった」のです。
そりゃそうだ、オレってこういう時にちょいちょい具合悪くなるよなあ、と。

それから10分もしないうちに、前にいた友達の背中をつつきました。
「わりー、具合悪いわ。」

ワタクシ、わりと繊細な少年でありました。
そして、健康面では両親にずいぶんと心配を掛けた少年でした。

加えて・・、
才知に優れた人はとかく病気がちであるというけれど、才知と病気のバランスが取れていないなあと、自らの子供時代を嘆くのでした。

122 奇々怪々

私は幼い頃、体があまり丈夫ではなく、幼稚園や小学校を一年間休みなく通うことはできませんでした。
それは、「自家中毒」という持病を抱えていたためでした。

腹痛や嘔吐を繰り返すので、症状は「食中毒」と似ていますが、全く関係はありません。
周期性嘔吐症と呼んだり、血液の中にアセトン(ケトン体)が増えるので、アセトン血性嘔吐症と呼んだり、現在では、その病態をさしてケトン血性低血糖症とも言われています。
(出展:https://www.ishamachi.com/?p=35551)

自家中毒の特徴についても、ネットで調べてみました。

①2~10歳くらいの間で見られ、5・6歳が発症のピーク。
②思春期になると治る。
③やせ型で繊細な子供に多く発症する。
④心配性で「失敗したどうしよう」などと先回りして考えてくよくよしてしまう性格の子供や、逆に楽しいことを想像してワクワクが止まらなくなってしまうなど、感情が盛り上がりすぎてしまう子供などにも見受けられる。

見事なまでに、私の子供時代を言い当てています。
因みに④は後者です。
人一倍楽しみにしていた運動会や、夏休みの家族旅行直前になると体調を崩すという、すこぶる残念なタイプの少年でした。

自家中毒を発症すると、母親におんぶされ、かかりつけ医に連れて行かれました。
母にしてみれば、可哀想半分、情けない半分といった心境だったことでしょう。
一方、私は、繰り返す嘔吐で体力が落ちている中、「またかよ」と気持ちも凹んでいたわけで、母の背中に癒され、勇気づけられたのを覚えています。

症状が落ち着いて、徐々に食欲が戻ってくると、母は消化の良い食事を用意してくれました。
決まって登場したのは、リンゴとはんぺんでした。

おでんの具人気ランキングの上位に必ず登場するこの「はんぺん」。
大人になってからは、好んで食べなくなりました。
美味しい美味しくないではなく、私にとっては「体調を崩したとき食べるもの」という印象が定着してしまったのです。
今でも、はんぺんを見ると、狭いアパートの一室で嘔吐していた、切なくて心細い気持ちを思い出します。

思い出すといえば、自家中毒を発症した時だけ会える「おじさん」がいました。
会えると言っても、四畳半の一室の決まった壁に「像」が浮かび上がるのです。
その像が見えるのは、自家中毒で布団に伏しているとき、という限られた条件下だけで、元気なときに現れることは決してありませんでした。
その「おじさん」はいつも同じ表情をしており、恫喝したり恐怖を与えたりすることは決してありませんでしたが、「あの場所におじさんが見える=今オレは病気なんだ」と確認させられる存在でした。

あれは、一体どういう現象だったのでしょうか?

不思議の国のアリス症候群という病気があるそうです。
その症状は、目の前にある物の遠近感覚が狂ってしまったり、時間の感覚がおかしくなってしまったり、壁に顔が浮かんで見えたりするそうです。
う〜ん、ちょっと違うような気がします。

実は、大人になってから、たった一度だけあのおじさんに会ったことがあります。
昼寝をしていたとき、夢に現れたのです。
しかも、体調不良ではなく、元気なときに。
ほろ苦い思いと、ちょっと嬉しい思いが交錯した記憶があります。

今日は私の56回目の誕生日です。
母へ感謝の意を表しつつ、子供の頃の不思議な話をしたためてみました。

121 意気消沈

神社を巡っていると、美味しい和菓子をよく見かけます。
美味しいのはもちろんのこと、どれも歴史と伝統あるお菓子です。
有名なものばかりですが、いくつかご紹介したいと思います。

①福太郎本舗「福太郎餅」(三嶋大社)
この盛り上がったあんこの形状から、「リーゼント餅」とも呼ばれています。
「烏帽子」をイメージしているそうですが、見かけは黒髪のリーゼントです。
境内の福太郎茶屋で食べられる温かいお茶と福太郎餅2つのセットは、税込み200円。
値段も手頃で、オススメです。
お土産用は12個入りで950円、賞味期限は4日です。
私は12個入りを3つ購入しましたが、お餅なので結構重たかったですね・・。

②粟餅所澤屋「粟餅」(北野天満宮)
創業は室町時代の1682年。
炊きたての粟を店内の臼でついた餅に、餡ときな粉をまぶしただけの素朴な和菓子です。
作り置きはしないので、注文のたびに、職人さんが慣れた手つきで作ってくれます。
形状は、餡の餅は丸く、きな粉の餅は細長くなっています。
これは、きな粉はつけてもこぼれてしまうので、極力たくさんつくよう表面積を広くしたそう。
そのご主人の気持ちをあらわすかのように、きな粉餅には餅の形が埋もれるくらい、たっぷりのきな粉がまぶしてあります。
当て紙もクラシックでとても味がありますが、残念ながら写真がありません。

③やわた走井餅老舗「走井餅」(石清水八幡宮)
三大八幡様のひとつ、石清水八幡宮の門前名物は「はしりいもち」です。
独特なこの形は刀を模しているそうで、やわらかいお餅の中には、北海道産小豆を用いたこし餡がぎっしり入っています。
写真は煎茶セットで350円。
お土産用は、10個入り1200円、20個入り2,300円など。
きな粉、抹茶、いちごの3種類の味が楽しめる「八幡野」というチョコあられも、おしゃれで美味しいです。

④かさの家「梅ヶ枝餅」(太宰府天満宮)
その由来は、太宰府に左遷された道真公が、日々の食事にも困窮しているのを見かねた近くの老婆が、粟餅を梅の枝に刺して格子の間から差し上げた、というものです。
実は、私はまだ太宰府天満宮に行ったことがないのですが、カミさんが福岡に行った際、お土産にリクエストしました。
元々、大のあんこ好きな私も、さほどでないセガレも、大好きになりました。

冷凍をチンして食べても十分美味しいのですが、やはり、焼きたての「外はパリパリ、中はしっとり」をいつか味わいたいと思っていました。
すると、横浜そごうで九州物産展が開催されていて、かさの家も出店し、実演販売していることをネットで知りました。

「明日は、ベイクォーターのアイランドヴィンテージコーヒーでアサイーボウルを食べてから、そごうで焼きたての梅ヶ枝餅を食べに行くぞぉ!」

意気揚々と家族を誘い、好天の体育の日、食欲優先の計画を実行しました。

アサイーボウルの人気ナンバーワンとも言われるアイランドヴィンテージコーヒーでお昼を食べてから、そごうへ向かいました。
会場となっている8階の催事場に着くと、ワールドウォッチフェアという看板が目に入りました。

「ここじゃないな…。」
「ん?どこだ、九州は?」

「父さん、九州物産展はあさってからだよ( -_-)」

家族の視線が痛い、連休最終日となりました。