177 三密瑜伽

まもなく8月が終わります。
少し気の早い話題ですが、今年の流行語大賞は新型コロナウイルス関連が、大半を占めることになるでしょう。

濃厚接触、クラスター、オーバーシュート、ソーシャルディスタンス、ステイホーム、テレワーク、フェイスシールド、不要不急、オンライン飲み会、東京アラート、大阪モデル、8割おじさん、アベノマスク・・。

思いつくだけでも多々ありますが、私の中では「三密」が大賞候補です。
言うまでもなく、密閉・密集・密接です。

また、新たな三密という記事をどこかで読みました。
新聞だったか、ネットだったか忘れましたが、およそ以下のような内容で、感心しました。
  • 今後の人生や生活を綿密に考え直す
  • ソーシャルディスタンスを維持しつつ濃密な関係を築く
  • 人や場所とのつながりを親密に感じながら日々を楽しむ

以前のような生活がすぐに戻ることはないでしょうから、新たな生活様式を頭で理解し、実践していかなければならないでしょう。
それは詰まるところ「簡素」な方向へに舵を切ることになるのでしょうが、過度にならないようにしたいと思っています。

カミさんが早起きして作ってくれるお弁当は、美味しくて抜群に安全ですが、行きつけのお店で食べるランチは、仕事の気分転換に有効です。
デパ地下は、見ているだけで幸せな気分になります。
また、健啖家の義母を、大好きなホテルのビュッフェに連れていってあげたいなあ、とも思います。

様々な感染症を克服してきた歴史からも、この困難を賢く乗り越えられる日が来ると信じたいと思います。

ところで、そもそも三密には「空海がひらいた真言宗をはじめとする密教の教え」という意味があるそうです
そういえば、高尾山に「三密の道」と記された門があるという報道を思い出しました。
ネットを調べてみると、東京新聞6月16日WEB版に関連記事を見つけました。(https://www.tokyo-np.co.jp/article/35764)

「『三密』は、真言宗の教えにある言葉です」。
高尾山薬王院の法務部長、堀江承豊さん(61)が解説してくれた。「三つの密」とは、真言宗(密教)では「身密(しんみつ)」「口密(くみつ)」「意密(いみつ)」のことで、それぞれ正しい行い(身)、正しい言葉(口)、正しい心(意)を心掛けるための修行を指すのだという。
(中略)
堀江さんは「宗教的な意味と異なる『三密』が広まってしまった」と苦笑しながら、「本来の教えを今の生活に生かすこともできる」とも語る。「感染する恐れがある行為は行わない」(身密)「感染者や医療従事者らへの誹謗(ひぼう)中傷を行わない」(口密)「周囲の人にいたわりの心を持つ」(意密)−。気持ちがすさみがちな今だからこそ、「三密を意識することが大切なのではないでしょうか」と訴える。

悲しいニュースに心がざわつくこともありますが、自分の心と向き合いながら、真心を込めた行動や発言を心がけたいと改めて思いました。

終わりに・・、

世の男性たちの多くは、初めて「三密」と聞いたとき、壇蜜さんを思い浮かべたことと思います。
ワタシもその1人です。

『テレビから三密と聞こえると「呼ばれたかな」と反応してしまうんです』と語っていた壇蜜さんのコメントに、ほっこりした記憶があります。

また、「断密、ワタシからもお願い」という文言と壇蜜さんの写真をSNSで公開したファンがいましたが、写真の使用許可を得ておらず、法的問題が指摘されたそうです。

ところが、壇蜜さんの所属事務所は「こんな時代だからパロディで和んでくだされば」と寛容な姿勢を示したとのこと。

ギスギスした時代にあって、まさに、和みますね。

なお、「三密瑜伽」の「瑜伽」は、修行者の三密と仏の三密が互いに交じり、溶け合うこと、なのだそうです。

176 偏旁冠脚

そろそろ7月が終わろうとしていますが、東京では雨の日が続いています。

最も遅い梅雨明けはいつだったのだろうと調べてみると、気象庁のサイト内に「昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け」というページがありました。(https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/baiu/kako_baiu09.html)

それによると、昭和57年(1982年)の「8月4日」が最も遅かったようです。

38年前の夏ですね。
私は、大学3年生でした。
ひとりでロサンゼルスへ旅立ったのは、梅雨明けの数日後だったんだなと、学生時代に想いを馳せながらサイトを見ていると、1993年だけ日付が未掲載になっていることに気づきました。

注釈によると「梅雨入り梅雨明けの時期がはっきりしなかったため、特定しなかった場合」とのこと。
こんな年もあったんですね。

今朝、テレビの天気予報を見ていると、今日の雨のポイントは「疎雨」と紹介されていました。
「そう」と読み、「疎らに降る雨」という意味だそうです。
いい言葉だなあと感じながら、雨がつく熟語を書き出してみたくなりました。

梅雨、大雨、長雨、雷雨、風雨、雨季、雨傘、雨靴、雨具、雨天、雨音、雨粒、雨男、雨女、穀雨、雨水、雨樋、時雨・・。

最後の4つは、我ながら良く浮かんだものだと悦に入りながら漢和辞典を開くと、まだまだ数え切れないほど掲載されていました。

驟雨、膏雨1)、陰雨2)、白雨、法雨、喜雨3)、雨意、雨花、雨脚、雨矢、雨施、雨集、雨師、雨飛、雨潦4)、雨涙・・。

1)膏雨:農作物をうるおし、生育を助ける雨。
2)陰雨:しとしとと降りつづく陰気な雨。
3)喜雨:夏の土用の頃、日照りが長く続いて旱ばつ状態となっている時にようやく降る恵みの雨のこと
4)雨潦:雨が降ってできた水たまり。

こういう語彙力を身に付けることは、文字を生業にする者にとって、表現力が向上しますね。

「雨」を調べたついでに、「あめかんむり」のページも読み進めると、大変興味深く、夢中になってしまいました。

雪、雫、雰、電、雷、零、需、震、霊、霞、霜、霧、露・・。
上記の見慣れたもの以外に、興味深い漢字を見つけたのです。

  • 霖:【りん】ながあめ。3日以上降り続く雨。
  • 霪:【いん】ながあめ。10日以上降り続く雨。「霖霪(りんいん)」も長雨の意味。
  • 霤:【りゅう】あまだれ。屋根から落ちる雨水。
  • 雩:【う】あまごい。雨を天に祈る祭り。また、あまごいをする。
  • 霰:【さん、せん】あられ。空中の水蒸気や雨滴が凍って降ってくる粒状の氷。
  • 雹:【ひょう】ひょう。雷雨などに伴って降る氷のかたまり。あられの大きなものをひょうという。
  • 霙:【えい、よう】みぞれ。雨混じりの雪
  • 霏:【ひ】雪や雨の、音もなく降りしきる様子。
  • 霑:【てん】うるおう。うるおす。
  • 靄:【あい】もや、かすみ。地表近くの大気中に霧や水蒸気の立ちこめる現象。靄然はかすみのたなびく様子。
  • 霓:【げい】にじ(虹)。雨上がりの空にかかるにじ。古代には、にじにも雄雌があると考え、雄(鮮明なもの)を虹(コウ)、雌(薄い光のもの)を霓(ゲイ)といった。

漢字は奥が深く、勉強するほど楽しいですね。
漢検準一級にもう一度トライしたいのですが、60手前のアタマは、知識が留まることなくサラサラと流れ落ちるので、厳しい戦いになりそうです。

175 無妄之福

今年2月頃、ドラッグストアの店頭からマスクが消えました。
深刻な品薄が長期化する中、家電メーカーのシャープがマスクの生産に参入しました。

信頼できる日本企業が、液晶パネルも生産できる国内のクリーンルームで製造するとあって、発売当初から大きな注目を集めました。

因みに、第1回抽選販売の当選倍率は107倍。
その後も人気は衰えず、第11回目の抽選で倍率がはじめて100倍を切ったそうです。
86,000箱の販売に対して、応募総数が8,515,139人でしたので、正確には99.013倍です。

そして、
なんと、
その99倍に、
当選しました(゚Д゚)

随分狭い門を通過できたものです。

当選を知らせるメールが届いたとき、個人的にはマスク不足は解消していましたので、格別嬉しいという感じではありませんでしたが、考えてみれば99人に1人の確率です。

購入を辞退することもできるのですが、この強運を無駄にしてはバチが当たる思い、早速支払い手続きを済ませたところ、先日商品が届きました。

私は、元々クジ運が強い方ではありません。
少なくとも自身の認識はそうでした。

しかし、よくよく思い返すと、過去に特大ホームランを2発、かっ飛ばしています。

ひとつは、2年前、ある夏のイベントの抽選会でのこと。
サマーフェスタと銘打ったそのイベントで、私は焼売と春巻の販売員を務めていました。
そろそろ抽選会が始まるというとき、近くの女性スタッフに半券を委ね、私は売り場に残りました。

「ヤマダさーん!大変、大変!当たったよ〜!!!」

焼売そっちのけで抽選会場へ行くと、1等の箱根宿泊ペアチケットが当たったとのこと。
その確率は、およそ300分の1くらいと思います。
ところが、私の立場はイベントの手伝いに駆り出された、言わば「関係者」。
抽選会の司会をしていた親しいスタッフから「もちろん辞退だよね」と強要され、「パワハラで訴える!」と笑いながら壇上から降り、代わりの景品として麦わら帽子をいただきました。

もうひとつは、かれこれ7〜8年前、ジャイアンツの試合を観戦していたときのことです。

東京ドームでは試合の途中、スポンサーの佐藤製薬が、スーパーバズーカ企画を行っています。
これは、サトちゃんとジャビット君が、カートから「サトちゃんTシャツ」をバズーカで客席にプレゼントするのです。
3塁側内野席に座っていた私は、そのTシャツを見事にキャッチしました。

内外野で行われているのか、1試合で何発のバズーカが発射されるのかなど、詳しいことは承知していませんが、仮に10回発射されたとして、満員の東京ドームの観客数4万人を分母にすると、実に4,000分の1です。

獲ってやる!とムキになったのではなく、来たかな?と思って伸ばした左手に、まるでスローモーションのようにすっぽり収まりました。
周囲の方々から祝福の拍手をいただき、ちょっと照れくさかった記憶があります。
夏になるとパジャマ代わりに着用しているのでだいぶ傷んでいますが、非売品ですし、ここでしか手に入らない貴重品です。

幸運が舞い込むのは無欲なとき、なのかも知れません。

 

174 枕経藉書

今日の読売新聞朝刊の社会面に、「先月 本が大売れ」という見出しを見つけました。
5月の紙の出版物の売り上げが前年比111.2%を記録し、2008年7月の調査開始以来、最高の伸び率だったそうです。

小中学校などの一斉休校により、児童書や学習参考書が大幅増加となったほか、「鬼滅の刃」など人気のマンガが、コミックの売り上げを前年比1.5倍以上に押し上げたそうです。

巣ごもり需要の高さがうかがえる結果だと思いますが、印刷業界に身を置く者として、このニュースを非常に嬉しく思います。
私の本業は商業印刷ですから、出版業界とは異なりますが、紙の本の需要が増えたという知らせは朗報です。

先月は新型コロナの影響で休業していた店舗も多く、営業を継続した約1,500店に限ると、134.2%の伸びだったとか。
都市部の大型書店はほぼ休業していましたから、街中の書店が売り上げを伸ばしたのでしょう。

私は書店、特に大型書店が好きなので、営業を再開を心待ちにしていました。
それ故、先日神保町の三省堂書店と丸善丸の内店を久しぶりに訪れて、ひときわ楽しい時間を過ごすことができました。

大好きなノンフィクションをはじめ、新刊の小説などを結構買い込んだのですが、あっという間に読み終えてしまったので、今日は有隣堂へ出向きました。
レジでズッシリと商品を受け取った時、ちょっと買いすぎたか・・とも思いましたが、全国民へ支給される10万円の使い途としてはまあいいか、と思ったりしています。

ところで、新聞には、専修大学の植村教授(出版学)のコメントも掲載されていました

多くの人は子どもの頃から、教科書をはじめ紙の本に親しんだ経験がある。「ステイホーム」と言われる中で、「読書回帰現象」が起きた。一過性の現象に終わらせず、紙の本の良さを見直す機会にしたい。

紙をめくる。
しおりを挟む。
表紙には書店のカバーが付いている。

これが、私にとっての読書です。
紙の良さをぜひ見直していただきたいと思います。

173 雪中送炭

「ヒマがあったら読むかい。」

父が日本経済新聞の切り抜きをくれました。
『1位北大、2位横国大」という大きな見出しが目に入りました。

うちの大学が記事になるのは珍しいなあと思いながら受け取ると、企業の人事担当者から見た、大学のイメージ調査に関する記事でした。

調査は各大学の学生イメージについて「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」の4つの側面で評価したもの。
北大は、2026年の創基150周年に向け、国際社会で活躍できる人材育成に努めているそうで、その結果が数字として現れたと言えましょう。

総合2位に輝いた私の母校・横浜国立大学は、行動力と対人力で2位だったほか、4部門全てで高評価を得たそうです。

3位以下も名古屋大学、京都大学、東北大学が名を連ね、上位10校は全て国立大学。
因みに、早稲田は12位、慶應は15位だったそうです。

ランキングの対象となった大学は、有効回答数805社からの回答数が一定水準以上に達した156校。
156校中の2位ですから、誇らしいですね。

この記事が新聞に掲載されたのが6月3日木曜日。
そして、偶然にも同じ日に、大学からメールが届きました。

その内容は、新型コロナの影響でアルバイト先を失ったり、また、親が経済的に困窮して学業継続の危機に晒されている学生への支援をお願いしたいというものでした。

大学は、遠隔講義受講の環境整備の支援や、PCの貸与などを柱とした「横浜国立大学緊急学修支援事業」第一弾を既に実施したようです。
しかし、長期化が予想される新型コロナ対応に備え、学生支援の枠をさらに広げるため、「緊急学生支援寄附金」への協力を卒業生に依頼したのでした。

具体的には、一人10万円の緊急生活支援奨学金を200人以上に支給するとのこと。
即ち、2,000万円以上が必要です。

6月5日までに、既に1,600万円近くの支援が集まっているようですが、私もわずかばかり協力いたしました。
近々振り込まれるであろう国からの特別定額給付金の一部を充当しようと思っています。

横浜国大のサイトを見ていたら、学生への食料支援も行っており、6月2日には「米2キロ、カップ麺1つと缶詰」が事前予約した100名に配布されたようです。

ただ、心なしか、物量的に手薄な感じがします。
食品業界で活躍するOBにも協力を仰ぎ、より分厚い支援ができないのかなと思います。

食料支援といえば、松山市が今月から経済的に困窮している市内の学生を支援するためのプロジェクトを始めたそうです。
「学飯」と銘打ったこの取り組みは、多くの学生アルバイトの受け皿となっている飲食店がコロナ禍で大きな打撃を受け、学生の困窮が自助努力で解消できなくなっている状況を打破するため、学生に食事券を配布する活動です。

市民や民間企業が一体となって無償食事券を配布する試みは全国でも珍しく、関係者の努力に頭が下がります。
公式サイトによると、協賛金はまだまだ目標額には達していないようですが、今後支援の輪が広がることを期待したいと思います。

大学生の差し迫った困窮ぶりは、学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が行ったアンケート調査が如実に物語っています。

これは、全国の大学生や短大生、大学院生ら1,200人を対象に実施した調査で、「経済的理由で退学を考えている」と答えた学生が20.3%にも上ったそうです。

今年度、大学や専門学校などで学ぶ若者は、ミレニアムベイビー世代が中心のため、そもそも人数が多いそうですが、その中で5人に1人が退学を考えているとは、極めて深刻な事態です。

政府は、困窮する学生に対して、総額530億円規模の支援策を講じることを決めましたが、可能な限りの支援を時機を逸することなく、迅速に進めて欲しいと願います。
また、特別定額給付金の10万円を、優先的に配布することはできないものでしょうか。

学生の学びを支えることは、未来への大切な投資です。
コロナプアで世代ごと未来を奪われるようなことは、断じてあってはならぬと思います。

172 解衣推食

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中が甚大な被害を被っています。
我々の業界も、もちろん例外ではありません。

全日本印刷工業組合連合会が行ったアンケートによると、4月時点の売上への影響は「前年同月と比べて大幅に減少した」と回答した組合員企業は60%で、「僅かに減少した」の31%を合わせると9割以上が影響を受けました。

また、日本製紙連合会の紙・板紙需給速報によると、4月の印刷・情報用紙の国内出荷は前年同月比19.7%のマイナスでした。
とりわけ大幅な減少だったのは、カタログやチラシに使われる塗工紙で、25.9%減となりました。

4月上旬には、日本印刷産業連合会会長が新型コロナウイルス感染症の陽性が判明したとのニュースもありました。

一方、海外では、アメリカのビジネスや技術ニュースの専門ウェブサイト「Business insider社」が今年2月、「今後10年で雇用が大きく減少する20の産業」を発表しました。

上位はアパレル関連が多くを占めますが、印刷業界は堂々の14位。
印刷機のオペレーターは2028年までに11.8%雇用が減少、製本関連では労働者が15.2%縮小する可能性が高いと予想されています。

そもそも衰退産業の印刷業界は、新たなウイルスとの戦いでさらに厳しい状況に追い込まれています。

しかし・・、
負の要因ばかり考えていては、先に進めません。

とにもかくにも、弊社は社員が誰ひとり感染せずにここまで来られました。
元気ならば、頑張れます。

非常事態宣言は解除されました。
今日から月も変わりました。
積極的な営業活動はまだ憚られますが、気持ちを新たに明日に向けて歩みを進めていきたいと思っています。

この新型コロナウイルスとの戦いは、ある程度長期戦になることでしょう。
しかし、ポストコロナの時代が必ず到来します。
そして、その姿は従来とは大きく転変することでしょう。

「我々は今、歴史的岐路にいる」という表現は満更大げさではないかも知れません。

在宅勤務やビデオ会議の習慣化、大都市への一極集中の緩和などの労働環境における変化のみならず、人々の価値観にも大きな変化が生じているようです。

即ち、ステイホームを通して、これまでの無駄な消費や生活習慣が浮き彫りになり、簡素な方向へ舵を切る人が増えると言われています。

私も緊急事態宣言下にあって、思うことはありました。
飲食に耽溺していたかな・・。
不要な買い物をしていたな・・。

そして、何よりも強く感じたのは「人との関わりや繋がりの大切さ」です。

料理はテイクアウト、買い物は通販で置き配。
こればかりでは飽きてしまうし、充実感や満足感が足りません。
皆で楽しみ、繋がりが実感できることを求めるのは、いたって自然な流れでしょう。

今後は、個々人が自主的な管理のもと価値観を創造していく時代になるのだと思います。

171 茫然自失

新型コロナウイルス感染拡大により、我々の生活は一変しました。
GWが「我慢のウィーク」と呼ばれたように、多くの忍耐を強いられています。

パチンコ店やカラオケ店、スポーツジムの休業は、個人的には影響ありませんでした。
博物館や美術館も、さほど不自由を感じませんでした。
また、多くの人に支障をきたした、居酒屋やパブの類いも、下戸の私には何ら問題ありません。
酒が飲めない体質も、このご時世、案外悪くないかも知れません。

ただ、ドトールやスターバックスをはじめ、弊社近隣のブルーボトルコーヒーやオールプレスなど、コーヒー店の休業は痛かったですね。
仕事中、美味しいコーヒーが飲みたい欲求を叶えられなかったことが、最も不便を感じた点かも知れません。

また、生活面での大きな変化は、弁当を持参するようになったことでしょうか。
既に1ヶ月半ほど続いていますが、私の時間に合わせて朝5時半起床のカミさんには感謝です。

行きつけの蕎麦屋さんやラーメン屋さんに行けないのはちょっと寂しいけれど、カミさん手作りの弁当は、食の安全という面ではピカイチです。

弁当は高校生の時以来ですが、当時との大きな違いは、今は温かいご飯が食べられること。
ご飯が冷たいか温かいかは、雲泥の差がありますね。
THERMOS社製の弁当箱は、優れものです。

それから、我慢していたのは美容院でしょうか。
通常は4〜5週間に1度のペースで髪を切りに行くのですが、昨日、7週ぶりに行ってきました。

美容院へ入ると、まず手洗いを促されました。
そして、入口のドアは開けっ放し。
15年近く通っている美容院ですが、これまでとは状況が一変していました。

「やまださん、お久しぶり。今日、窪田正孝みたいにしてもいい?」
美容院の先生にそう言われたものの、窪田正孝さんの髪型が頭に浮かびません。

そもそも私は、美容院でああしてこうしてと注文するのが苦手です。
信頼している美容師の先生に、いつもお任せしています。
この日も先生に全て委ねました。

「奥さんと息子さん、窪田正孝のこと知ってるでしょ。家に帰ったら、誰の髪型にしたか、家族の皆んなに聞いてみて。ゼッタイ当たると思うよ!」

美容院を出てから「窪田正孝」とググってみると、ん、なるほど、ちょっと似ている気がします。
「先生、やるじゃん」と思いながら、帰路につきました。

帰宅後、早速カミさんとセガレに尋ねてみました。
するとカミさんが・・、

「分かった!コボちゃん!!」

NHKの朝ドラの主人公になりきって帰宅したのですが、読売新聞の4コマ漫画との評価でした・・。
2回り以上も年下の人気俳優さんですから、所詮ムリがありました・・。

170 春宵一刻

新型コロナウイルスの感染拡大により、今年のゴールデンウィークは愉しみや喜びとは真逆の方向を向いてしまいました。

東京都は4月25日から5月6日までを「いのちを守るSTAY HOME週間」と銘打って、大型連休中の外出自粛を求めています。

ここしばらく、私も週末は家で過ごしていますが、運動不足に加えて間食が増え、明らかに体重が増加してしまいました。

そこで、この悪循環を断つために、25日土曜日から、週末1時間のウォーキングを自らに課しました。
とは言え、あまり張り切り過ぎると持病の股関節痛が悪化しますので、早歩きでも大股でもなく、日常の通り歩くように心掛けています。
連休後半もSTAY HOMEを守りつつ、ウォーキングだけは継続したいと思っています。

一方、メンタル面もケアしなければいけません。
本を読んだり、ビデオの編集をしたりしていても、沈鬱な気分がどうしても抜けません・・。
来る日も来る日も新型コロナのニュースばかりで、楽しいイベントがないのですから、やむを得ませんね。

そこで、友人とオンライン飲み会を実施することにしました。

その仲間とは、小学校時代の同級生9人。
小学校と言うと驚かれることが多いですが、今も定期的に飲み会を開催し、2年に1度は京都旅行を楽しむ間柄です。

この集まりで、私は図らずも隊長と呼ばれ、幹事を仰せつかっています。
オンライン飲み会の言い出しっぺも、もちろん私なのですが、在宅勤務に最も縁遠いのも私。
TeamsだのZoomだの未知の分野を相手に、意を決しての企画です。

ネットで調べたり、テレワークに慣れているメンバーに教えてもらいながら、接続テストも行い、昨日、どうにか開催に漕ぎ着けました。

事前の約束として、好きなドリンクに加え、29日にちなんで『肉料理』を用意することとしました。
私が用意した(正確にはカミさんに作ってもらった)のはビーフシチュー。

そして、飲み会といっても下戸の私はソフトドリンク。
この日は麦茶で飲み会に挑みました。

1人欠席だったので、参加メンバーは男子5名、女子3名の計8人。
うまくいかない部分もありましたが、新鮮な楽しみを味わうことができ、大いに気晴らしになりました。

周りにいる家族が登場したり、飼い犬が出演したり、途中でインターホンがなって来客があったりと、店舗では起こり得ないことも逆に楽しい要因となりました。

予定の1時間20分は、あっという間に過ぎ、なんとかファシリテーターの役目は果たせたかなと思います。

アメリカのFacebookは4月24日(現地時間)、「Zoom」と競合するビデオミーティングサービス「Messenger Rooms」を発表しました。
Zoomの無料版のような時間制限なしに、最大50人でビデオミーティングを楽しめるのだそうです。

これらは、遠方の仲間とコミュニケーションを図るには、非常に便利なツールだと思います。
しかし、近くの友人とは、やはり同じ場所で同じ時間を共有したいかなと・・。

169 率先垂範

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、史上初めて緊急事態宣言が発令されました。
人と人との接触を8割減らすことが求められています。

多くの企業がテレワークを導入し、働き方が大きく変わりました。
そんな中、アドビシステムズが発表したテレワークに関する調査結果に目が留まりました。
最も興味深かったのは、「テレワーク実施に伴う業務上の課題は」という問いへの回答です。

第6位 「稟議や書類処理が遅れる」(23.3%)
第5位 「会議が非効率になる」(24.0%)
第4位 「データや情報管理にセキュリティが心配」(24.4%)
第3位 「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい」(35.0%)
第2位 「勤務場所にプリンタやスキャナーがない」(36.2%)

と続き、栄えある第1位は・・、
「会社にある紙の書類を確認できない」(39.6%)でした。

ここでも紙が悪者になっていることに、苦い思いがしました・・。

弊社は製造業ですから、100%テレワーク化は不可能ですが、オペレーターには自宅勤務を命じ、他の社員も時差出勤や交替勤務としています。
そもそも少人数なので、勤務体制変更の弊害は小さくありません。
しかし、今は接触を減らすことを最重要課題とし、人と社会を守る努力を重ねていきたいと思っています。

さて、新型コロナウィルスに関する政府の対応について、批判の声が日に日に強くなっているようです。

国民への給付金支給ではその方法で迷走し・・、
多くの国民がマスクの手作りを始めた頃、多額の費用を投じて布マスクを配布し・・、
医師会や東京都に比べ、緊急事態宣言発出の決断が遅いと指摘され・・、
そんな中、首相は自宅でくつろぐ画像をミュージシャンのSNSとコラボし・・、
剰え、首相夫人は大分の神社を集団で参拝し・・・・。

国難ともいえる現在の状況をリードしていく政治家は、それはそれは大変だと思います。
ただ批判するだけのコメンテーターに比べたら、その苦労は説明するまでもないでしょう。

ただ、敢えてひとつ申し上げるなら、政治家の金銭感覚には不満を覚えます。

先日、国会議員の給与を2割削減すると発表がありました。
しかし、調べてみると、給与にあたる議員歳費約1,550万円が1,240万円へと2割カットされただけで、ボーナスや立法事務費などは何ら変わらず、結果として4,170万円の年収が3,860万円になるのだそうです。

自粛を要請する側は経済的に大した影響は受けず、自粛要請を受ける側は存続の危機に直面していることに、不公平感を禁じ得ません。

この難局を脱するために、朝から晩まで、日曜祝日返上で対応策を考えている‼
そして、オレたちは給料もボーナスも返上する‼
そのお金は、生活に苦慮している方や医療従事者への支援に充当する‼
だから皆も頑張って欲しい‼

と与野党の垣根を超えて政治家がメッセージを出したなら、国民の受け止め方は変わるのではないかと思うのです。

世界を見渡すと、台湾やニュージーランドなど、政府の対応が国民から大きな支持を得ている国もあるようです。

国内でも、大阪や北海道の知事には、地元から絶大な信頼が寄せられています。
最近頻繁に発表される大都市における人出の減少数において、大阪・梅田がトップなのは吉村府知事の力によるところも大きいのかも知れません。

リーダーの資質について、嵩高に物を言うつもりは毛頭ありませんが、痛みを共有する心は大切にしたいと思っています。

168 安居楽業

2年前、京都へ紅葉見物に行きました。
時間に限りがありましたので、嵯峨野地域に限定して散策しました。
その際、二尊院を参拝し、3枚の色紙を拝領いたしました。

その1枚が上の「人生五訓」です。
短い5つの戒めの言葉に、いたく感動しました。
焦るな、怒るな、威張るな、腐るな、怠るな、と漢字で書いていないところもちょっといいですね。

近年、仕事が多忙になった時、ふと立ち止まってこの「人生五訓」を思い返すようにしています。今は年度末ですから、年間で最も忙しい時期です。
今朝も仕事の前に、自らに言い聞かせました。

年度末といえば、近年、3月になると製本所が異常なほど繁忙を極めます。
平日の残業はもとより、土・日も祝日も出勤しないと仕事が消化できません。

ペーパーレスによる印刷業界の低迷で、製本所の数は年々減少しています。
仕事量が全体に減っていますから、平時はどうということはありません。

しかし、年度内納めが極端に集中するこの時期だけは、業者数が減ったことで、現存の工場が一気にパンクするのです。

ところが、怒濤の3月が終わり、カレンダーを1枚めくると、潮が引くように仕事がなくなります。
これでは、3月の頑張りが報われず、空しい限りです。

話を二尊院の色紙に戻します…。
もう1枚の色紙には「心の糧七ヵ條」が書かれています。

一、此の世の中で一番楽しく立派なことは生涯貫く仕事をもつことである

一、此の世の中で一番さみしいことは自分のする仕事がないことである

一、此の世の中で一番尊いことは人の為に奉仕して決して恩に着せないことである

一、此の世の中で一番みにくいことは他人の生活をうらやむことである

一、此の世の中で一番みじめなことは教養のないことである

一、此の世の中で一番恥であり悲しいことはうそをつくことである

一、此の世の中で一番素晴らしいことは常に感謝の念を忘れずに報恩の道を歩むことである

生涯貫く仕事といえば、私の父が正に実践中です。
87歳にして毎日出社しています。
私には87歳の景色は想像もできませんが、日々自らを鼓舞し、社会の一員であり続けているのだと思います。

つい先日、ある病院の教授から、なぜ会社名が“伊豆”なのか、と質問を受けました。
丁稚奉公として上京したときから、いつか故郷の名を配した会社を興したかったという父の夢をお話ししたところ、「それは素晴らしい」とお誉めいただきました。

弊社は、この3月で45年目を迎えました。
印刷業界は逆風にさらされていますが、そんな中、仕事をいただけるのは有難いことです。
色紙の最後の1行にもある通り、感謝の念を忘れてはなりません。

そして、零細企業とて、守るべき社員とその家族がいます。
社員が安居楽業できるようにすることも、社長の重要な務めです。
安易なことではありませんが・・。

「安居楽業」:
今いる環境や状況に心安らかに満足し、自分の仕事を楽しんですること。自分の分をわきまえて不満をもたず、心安らかに自分のなすべき仕事をすることをいう。(goo辞書より)