233 現状打破

小学校からの親友・Kくんは、学年で一番足が速く、運動神経が抜群でした。

中学生のとき、Kくんを含む7〜8人で、深夜に公園で集まっていたらお巡りさんに咎められました。
タバコは所持していませんでした(と思います)が、その場の流れで、蜘蛛の巣を散らすように一斉に逃げました。
運良く全員逃げ切れましたが、中でもKくんは息を切らすこともなく、何事も無かったように涼しい顔をしていました。

そんなKくんと私は、若い頃から同じ悩みを抱えていました。
お互いおでこが広く、髪の毛のボリュームが少ないタイプだったので、「オレたち若くしてツルッといっちゃうのかね・・」「50歳くらいまでは頑張りたいよね・・」と10代の頃からハゲましあってきました。

そんな中、20代後半のとき、私は仕事で化粧品会社の女性社長と親しくなりました。
若ハゲを気にしていた私に、その社長はストレートにこう言いました。

市販のシャンプーにはね、界面活性剤っていう水と油が混ざっちゃう成分が入ってるの。
天然成分で出来ている石けんシャンプーにしないと、40歳頃にはツルツルになっちゃうよ!

単純な私は、その日の夜から石けんシャンプーに切り替えました。
以来35年ほどが経ち、おでこは相変わらず広いままですが、薄毛という点では「どうにか持ちこたえた」のではないかと思います。
年齢相応を維持できたのは石けんシャンプーのお陰だと、あの日の社長の一言にすごーく感謝しています。

50歳代の半ば頃、Kくんと「勝利宣言」をしました。
「どうにか持ちこたえた」髪を見合って、「このトシでこのくらいなら十分だよね!」と喜び合ったのです。

因みにそのKくん、今は髪が真っ白です。
数年前に、白髪を染めないことに決めたのです。

Kくんは元々イケメンでしたので、今、正にハクハツのイケオジです。
真っ白なオールバック姿で、お孫ちゃんと遊んでいるようです。

勝利宣言をした頃から、私も白髪が徐々に増えてきました。
抜け落ちてしまうことを考えたら、白髪染めなんて苦じゃないや、と最初の頃は思っていましたが、風呂場で2日に1回程度染めなければならない現実が、そこそこ面倒になってきました。

今年の春頃、行きつけの美容院に行ったとき、「試しに前だけ染めてあげようか」とのお言葉に甘え、人生初の白髪染めを経験しました。
地肌が黒くならない特殊なクリームを塗って、耳にはビニールのキャップのようなものをはめ、白髪染めが始まりました。

短髪ですし、染めるのは生え際だけですから、さほど時間も掛かりませんでしたが、その出来栄えは感動モノでした。
自分で染めたときとは雲泥の差、生え際が隙間なく黒々となりました。

以来、美容院に行くたびに生え際を染めていただいていましたが、今回は生え際だけでなく、髪の毛全体を染めてくれました。

帰宅して鏡を見てびっくり。
白髪がまったくありません。

「見て見て、白髪が1本もなくなったよ!!」

「あら、ホントだ。ずいぶん印象が変わるね〜!」

カミさんもその変貌ぶりに驚いていました。

「こんなに黒々とした髪なら、まだまだオレもひと勝負できるな!(何の勝負だ)
どこ行くかな・・、銀座か? 六本木か?」

「巣鴨のとげぬき地蔵がいいんじゃない?」

おいおい・・。

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