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237 流金鑠石

9月初旬、猛暑の中、ゴルフに行きました。
暑い時期はアーリーバード(朝5時前にスタートするスループレイの早朝ゴルフ)以外はほとんど行かないのですが、久しぶりの日中ゴルフでした。

プレイしたのは、暑さで有名な埼玉県内のコースでした。
スタート前、氷嚢に氷をぎっしり詰め、水筒も満タンに。
プレイ中は、日焼け止めを顔に首に手に足に塗りまくり、止めどなく流れる汗を拭きつつ、どうにか完走できました。

その夜、足に違和感を感じて鏡を見たところ、ふくらはぎが真っ赤でした。
足に塗りまくったはずの日焼け止めは、前側、要するに脛に塗るばかりで、裏側には全く塗られていなかったのです。
いくつになっても、おっちょこちょいは直りません・・。

肝心のスコアは、47・48。
相変わらず上達しませんが、完走しただけで「天晴れ」がいただけるのではないかと思います。
いや、こんな暑い日のゴルフはカラダに悪いぞ!と「喝」ですかね。

それにしても近年の夏の暑さは度を超しています。
福岡県太宰府市では、昨日も気温が35.0℃まで上がり、今夏62日目の猛暑日となったそうです。
これまでの国内最多記録だった群馬県桐生市の46日を、劇的に更新しました。

また、先日ネットで京都市が50-50を達成という記事を見つけました。
年間の猛暑日と熱帯夜の観測数が両方50日を超えたのだそうです。
(なかなかうまい表現だなと思ったら、海の向こうで大谷選手が前人未踏の52-52を達成しました!)

東京も6月下旬に梅雨明けし、その後、記録的な猛暑が続きました。
9月18日には、統計開始後、最も遅い猛暑日を更新しました。
この長期間に亘る暑さに対して、私もいくつか対策をしました。

  • 水筒を持参し、デスクワーク中でも水分補給を心掛けました。
  • 設定温度は27.5℃とやや高めながら、夜はエアコンを朝方まで付けっぱなしにしました。
  • 下着は汗を吸いやすいものを選びました。

しかし、私にとってこの夏を代表するアイテムは、自家製マンゴーフローズンヨーグルトです。

冷たいものの摂り過ぎは、カラダに良くない、とアタマではわかっていても、家に帰るとどうしても冷たいものが食べたくなります。
あまつさえ私は下戸ですから、ビールがキンキンに冷えていても全く魅力を感じません。
この氷菓のお陰で、この夏の暑さを乗り越えたと言っても過言ではありません。

作り方は簡単です。
冷凍マンゴーをジップロックに入れてよくつぶし、生クリームとハチミツを大さじ2杯混ぜ、最後にプレーンヨーグルトを400g加えて冷凍庫で凍らせれば完成です。
この美味しさは、◇◇◇◇ダッツアイスクリームを遥かに凌ぐ、と私は思っています。

当初はミックスベリーを用いていましたが、一度マンゴーで作ってからは、マンゴー独り勝ちの様相となっています。
手軽に出来ますので、ぜひぜひ作ってみてくださいませ。

236 一張一弛

パリオリンピック・パラリンピックが閉幕しました。
多くの日本人選手の活躍の陰で、オリンピックの開幕前に体操界でちょっと残念なニュースがありました。
19歳の女子選手が、喫煙と飲酒行為により代表離脱となった件です。

この処分に対しては様々な意見があったようですが、私は、最近ちょっとギスギスしてるなあ、と感じています。

もちろん、ルールは守らなければなりません。
ただ、昔から、喫煙と飲酒はルール破りの入門編です。
未成年者だからダメなんだという厳罰主義で、画一的に、そして取り返し不能なほどの重い処分を課すのは、何か違う気がするのです。

人一倍頑張ってきた若者が犯したちょっとの失敗に対して、大袈裟に騒ぎ立てるのではなく、包容力のある対応も必要かなと・・。
いわゆる「若気の至り」という寛容さがあってもいいのかなと・・。

世間から注目されている立場なんだから、ストレス発散は、もう少し要領良くやってよ。
そういうことは自宅でやってさ、合宿先ではちょっと我慢するとかさ・・。
今回は私が責任をとるから、今後は人として成長できるように一緒に頑張ろうよ!

私だったら、まず本人にこう言うような気がします。
ダメですかね・・、甘いですかね・・。

若いときの恥ずかしい記憶なんて、誰にでもあるはずです。
日の丸を背負った若者がはっちゃけちゃうことだってあるっしょ、と思うのです。

日本の親は「人に迷惑をかけることはしてはいけない」と子供によく言います。
しかし、インドでは「お前は人に迷惑をかけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」と教えるのだそうです。

「周りへの配慮を欠かさないこと」が美徳という日本人の考え方は大好きです。
反面、許すという徳も大切だと思います。
自らも気に掛けていくべき点だと感じます。

ちょっと話は逸れますが、1983年に当時世界新記録の通算939盗塁を達成した、元・阪急ブレーブスの福本豊さんが、国民栄誉賞を辞退した際のコメントはとても有名です。

「立ちションベンができなくなるから」

その実は、マイクの前でそう名言した訳ではなく、コメントが一人歩きしている部分もあるようです。

酒は飲むし、当時はたばこも吸うし、マージャンもしていた。
とてもじゃないが、品行方正と呼べる人間じゃなかった。
酔っぱらったら立ちションベンもする。
だから、辞退させてもらった。

記者とのこんな会話の一部が切り取られてしまったのが真相のようですが、基本的に、なんかいいな、と思います。
世界の盗塁王だからといって、なにもかにも折り目正しいわけじゃないんだ。
オレは野球が得意で足が速い以外は、どこにでもいる普通の人間なんだ、と訴える姿勢が、とても自然で人間的で心地良く感じます。

余談ですが、ドラフト7位で阪急への入団が決まったとき、福本選手の奥様は「阪急電鉄の駅員になると思った」というエピソードも残されています。

232 力戦奮闘

小さい頃、朝になると読売新聞と報知新聞がセットで届きました。
何故スポーツ新聞を取っていたのか確認したことはありませんが、おそらく父が野球好きだったからではないかと思います。

野球のシーズン中は、夜は巨人戦をテレビ観戦し、翌日の朝刊でその試合の記事を読むのが日課でした。
物心ついた頃から毎日読んでしましたから、自分の名前の次に書いた漢字は「報知新聞」だったと記憶しています。

母もある程度は野球に興味がありましたが、姉は全く関心が無かったので、野球は一般的に女性には人気がないものと思っていました。
ところが、嫁にした女性は、巨人の大ファンでした。
いい意味で予想が外れ、夫婦で同じ趣味を持てたのは幸運でした。

そもそも野球の話題は巨人に関することが大半でしたが、近年、様相が変わってきました。
大谷翔平選手の影響で、メジャーリーグへの感心が急激に強くなってきたのです。

毎晩、YouTubeのSpotvでメジャーリーグの試合のダイジェストを観るのが習慣となりました。
リビングの一角にあるホワイトボードには、メジャーリーグ全30チームの一覧を手書きしました。
ドジャースの選手の名前と顔もずいぶん覚えました。

先日Spotvを観ながら「オレが行った球場もここなのかな・・」と独り言のように言うと「父さん、ドジャースタジアム行ったことあるのぉぉぉ!」と素っ頓狂な声でカミさんに驚かれました。

大学3年生の夏、ロサンゼルスで3週間のホームステイを経験しました。
その時お世話になっていたホストファミリーが、ドジャースタジアムへ野球観戦に連れていってくれたのです。

対戦チームは忘れてしまいましたが、ドジャースの先発投手は当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったバレンズエラでした。
残したメモによると、初回にソロホームランを喫して、そのまま1対0で試合は終わったようです。
1982年9月4日、今から42年近くも前のことになります。
(写真の左下で、落ち着かない表情をしているのが私です)

野球と言えば、先日、エスコンフィールドへ行く機会がありました。
日本ハムファイターズが、昨年から本拠地にしている新しい球場です。

北海道に行くことはずいぶん前から決まっていましたが、その期間中にエスコンでプロ野球交流戦が行われ、その相手が巨人であると知った幹事さんが、サプライズでチケットを確保してくれたのです。

球場に足を踏み入れた瞬間、「日本じゃないみたいだ!」と思いました。
左右非対称な構造はメジャーリーグでは珍しくないものの、東京ドームに慣れている私には、とても新鮮でした。
新しい施設に感動しただけでなく、試合も巨人が勝利を収め、幹事さんには感謝感謝です。

また、球場内には、これでもかと飲食店が入っています。
ラーメンだけでも8店舗、そのほか寿司、お好み焼き、餃子、焼き鳥、ホットドッグ等々、どこで何を買おうか、ゼッタイに迷うと思います。

ひとつ進言するならば、試合が始まってから買いに行くのが良いと思います。

試合開始1時間ほど前から、どの店も異常なほど行列ができます。
私はラーメンに15分、モツ煮に30分、並びました。

ところが、試合が始まると多くの人は座席に戻るので、このタイミングで買い物に向かうのが得策だと思います。

因みに、私はラーメンとモツ煮のほか、ホットドッグ、焼き鳥、冷やし汁粉などなど、しこたま食べましたが、1番のオススメは、このパン(コロネ)です。
甘党でパン好きの私には、どストライクでした。

229 離朱之明

子供の頃から、視力の良さには自信がありました。
視力の測定検査では、確実に「1.5」を叩き出しました。
その下の「2.0」も読めるのになあ・・、といつも思っていました。

車の運転をしていると、「お前、あんな遠くの標識が見えるのか!?」と同乗者に驚かれることがよくありました。
ただ、ワタシは逆に「あの標識も見えずに運転してんのかい!」と感じていました。

この能力を建設的な方向に活かせば良かったのですが、大学生になると、受験勉強の反動か、完全にタガが外れてしまいました。

授業に出ている友はいない・・
頼りになる仲間はいない・・
先輩からの資料もない・・

こんな教科のテストがあると、にわかに私の出番となります。
要するに、周囲の答案用紙を謹んで拝見させていただくのです。

選択式の問題であれば、2列前の答案用紙まで、難なく判読できました。
そこで、鉛筆を持つ右手が邪魔にならない向かって右前の席と、そのもうひとつ前の席の解答を失敬し(そんな詳しい説明は要らないか)、自分の答案用紙に書き込んで、後ろに陣取る友人が見えるよう、ずらして机に置くのでした。
こうした不品行で得た単位数は、8〜12単位ほどあるでしょうか・・・・。
若気の至りでは済まされない、不届き千万な行為です。

そんな浅はかな行動から15年余。
30代後半に、老眼の兆しを感じはじめました。
40代半ばには、老眼鏡を買いました。

今や、老眼鏡は本を読んだりパソコンを打つ時のみならず、日常多くのシーンで欠かせなくなりました。
従って、仕事用のカバン、車の中、洗面所などなど、いたるところに老眼鏡が備えてあります。
数えてみたら、9つもありました。

そうこうしているうちに、遠くも見えづらくなってきました。
遠近両用メガネがうまく使いこなせない私は、車の運転やゴルフなど、遠くを見るためのメガネが別途必要になりました。

学生時代、あんなに憧れたメガネがこんなにも必要になるとは・・。
この不便さは、因果応報、自業自得といったところでしょう。

話が逸れますが、「タガが外れる」と書きましたが、調べてみると、言葉の由来が非常に興味深いことを知りました。

「タガが外れる」の「タガ」は、漢字で「箍」と書きます。
箍とは、桶や樽の周囲にはめる輪っかのことだそうです。
樽は、ウイスキーやビールなどのお酒を貯蔵する際に用いられることが多いですが、箍が外れると、中の液体物が一気に外に溢れてしまいますから、それはそれは大変なことになります。

この様子から、緊張が取れて締まりがなくなるという意味で、「タガが外れる」と使われるようになったのだそうです。

こういうところが日本語の楽しいところだと思います。
漢検準一級への挑戦は、ほぼ諦めの境地ですが、若い頃の反省も込め、何歳になっても学ぶ姿勢を持ち続けたいと、連休中に思うのでした。

226 炊金饌玉

早いもので、2024年が始まり、早2週間が経ちました。
食レポではありませんが、今年経験した外食にまつわる話を記したいと思います。

まずは、日本橋三越本館2階にあるカフェウィーンです。

下戸の私は、甘いものが大好きです。
お気に入りのスイーツはたくさんありますが、その1つがカフェウィーンのザッハトルテです。
ウィーンを代表するチョコレートケーキ・ザッハトルテと、その脇に乗せられたちょっと堅めの生クリームが、ホットコーヒーと相性抜群なのです。

上の写真は、カフェウィーンの店内です(出典  HANAKO https://hanako.tokyo/food/52539/)。
三越の公式サイトでも「優美な内装は、まるでウィーンの伝統的なカフェハウスのよう」と紹介されています。

ケーキが美味しいのは勿論のこと、大理石のテーブルと赤いベルベットのソファ席が醸し出すレトロな雰囲気にも、非常に魅かれていました。
カミさんと日本橋へ買い物に行った際は、赤いソファで休もう、が合言葉になっていました。

「いました」と過去形で表現したのは、状況が変わってしまったからです・・。
1月7日午後、カミさんと行ってみると、ソファーが茶色に変わっていたのです。
あまりにショッキングで、写真を撮り忘れました。

昨年12月は、赤いソファーでした。
いろいろ調べてみると、仙台三越にあるカフェウィーンが茶色いソファーのようです。
つい最近、日本橋も同じ路線に変更したのでしょうか・・。

長い間、ケーキの陳列棚が故障していたり、首が折れそうな白鳥型の器が足りなくて「フィルシメルバ」が提供中止になったり、そんなことは気になりませんでしたが、赤いソファーがなくなってしまったことは、本当に残念でなりません。

X(旧 Twitter)やInstagramで検索しても投稿は見当たりません・・。
残念がっているのは、私だけではないはずですが・・。

 

次は、小学校の同級生との新年会@横浜の話題です。

20代の頃から、スキーに行ったり、バーベキューをしたり、コテージに泊まったり、このメンバーとはいろいろなイベントを企画し、遊んできました。
そして今も、隔年で京都旅行に出掛けたり、年に数回、食事会を催しています。

小学校の同級生と未だに深い交流があるということに驚かれるときがありますが、総勢9名という人数にもビックリされます。
ただ、先日の横浜での新年会は、3名欠席者がおり、6名(男女各3名)での開催でした。

場所は、山下公園近くの「スカンディア」。
このお店はデンマーク人のご主人を持つ女性が、本格的なスカンジナビア料理を出す店として、1963年にオープンした歴史あるお店です(人間ならば昨年還暦です)。
2ヶ月以上前に予約をし、重厚感あるシックな雰囲気の2階で、ランチコースをいただきました。

この店は、指揮者のカラヤンさんや美空ひばりさん、井上陽水さん、桑田佳祐さんなど、多くの有名人が訪れた店としても有名です。

しかし、最も有名なのは、ユーミンが松任谷正隆さんと婚約後、両家の顔合わせ場所としてこの2階を貸し切りで使ったこと、ではないかと思います。
ドルフィンと並ぶ、ユーミンゆかりのスポットなのです。

ユーミンは中央フリーウェイで知られるように八王子市の出身ですが、横浜山手教会で結婚式を行い、横浜ニューグランド・ホテルで披露宴を挙げたそうで、横浜を愛していたのでしょう。

横浜国大出身の私としては、横浜が第2の故郷であるはずなのですが、40年という年月が経ち、知らないスポットがあまりにも増えてしまいました。

横浜駅東口なんて何にもなかった、横浜市営地下鉄は走っていなかった、みなとみらいなんて地名はなかった、首都高速と横浜新道は繋がっていなかった・・・・、なんて言うと、老人の戯言になってしまいますね。

級友と語り合う時間はとても楽しく、リフレッシュできましたし、久しぶりに訪れた横浜は、非常に新鮮でした。
「羽沢横浜国大」という母校名が付いた新駅もできたことですし、横浜の魅力を大人目線で感じるために、近々、改めて遊びに行きたいと思っています。

学生時代、大学よりも足繁く通ったボーリング場が閉店した跡地も確認したいですね。

223 一六勝負

初めて勝った馬券は、高校2年か3年の天皇賞秋で、枠連1-8を1,000円購入。
結果は1着トウショウボーイ、2着グリーングラス。
見事的中し、配当は1,100円で、10,000円儲かった。

自分の馬券デビューについて、上記のように確信を抱いていました。
しかし、調べてみると該当するレースが見当たりません。
そもそも、トウショウボーイもグリーングラスも、天皇賞秋を制していないようなのです。

何が合っていて、何が誤っているのか、情報を整理してみました。
レースは天皇賞秋なのか、勝ち馬をテンポイントと勘違いしてはいないか、枠連1-8は本当なのか・・・・。
思案の末、最も信頼に値しそうなのは「ちょうど10,000円利益が出た」という点ではないかという結論に達しました。
初めて購入した馬券が的中して実入りがあった訳ですから、金額に関する記憶は正確なのではないかと目星を付けたのです。

そこから探っていくと、該当するレースがありました。
1978年11月に行われた第78回秋の天皇賞の枠連配当が、1,100円でした。
私が高校2年生のときですから時期も合っていますし、レース名も合致しています。

ただ、勝ったのはテンメイ、2着はプレストウコウ、枠連は6-8でしたので、ここは記憶と相反しています。
枠連ですから、同じ枠に同居していた馬を調べてみましたが、トウショウボーイもグリーングラスも出走していませんでした。

結局のところ、納得のいく結論は導き出せませんでした。
ただ、人間の記憶は当てにならないものなんだなと、改めて思い知らされました。

因みに、未成年は馬券を購入してはならないと法律で定められています。
まあ、45年も前のことですから時効でしょう。

元来、ギャンブルは嫌いな方ではないかな、と自認しています。
思い出深いのは、大学3年の夏に行ったラスベガスです。

ロサンゼルスでホームステイをしていた私は、週末を利用してラスベガスとグランドキャニオンへ遊びに行きました。
同じツアーに参加していた仲間の多くも一緒でした。

いつかは行ってみたいと憧れていたカジノの聖地は、まさにエキサイティングでした。
この日のために日本から持ってきた一張羅のスーツに身を包み、砂漠地帯でGolden Nuggetの看板を見たとき、これまで経験したことのない高揚感を感じました。

カジノにはスロットやポーカー、バカラ、ルーレットなど多様なゲームがありますが、私はブラックジャックの魅力に溺れました。

minimum bet 1$の最もハードルの低いテーブルとはいえ、ディーラーと対峙していると、自分がすっかり大人になったような気分になりました。

ディーラーが1枚目にエースを引いた時に聞かれる『insurance?』や、『stay』『hit』を手の仕草で表現するなど、現地で遊びながら学んだことも多く、時間を忘れて没入していました。

日付変更線を過ぎた頃、やや引きの弱い男性のディーラーがやってきました。
ここが勝負どきと判断し、賭け金も増やして巻き返しに成功しましたが、その後に現れたスレンダーでクールな女性ディーラーに屈し、結局一晩で270$の負けを喫しました(この記憶もあてにならないか・・・・)。

当時の為替レートは1$270円ですから、約7万円の損失です。
40年以上前に学生が一晩で7万円も失うとは、由々しき事態であることに間違いありません。

そろそろ退散しようかなと時計を見ると、深夜2時を過ぎていました。
10人ほどの仲間とカジノに来たのですが、周りを見渡すと、友人は誰もいません。
と思ったとき、ルーレットのテーブルにいた日本人と目が合いました。
京都大学文学部3年のNちゃんでした(女子です)。

『まだいたんだ』
『国立大学の学生って、ギャンブル好きなんかね?』

深夜のカジノで聞く関西弁はすこぶる印象的でした。

あれから40余年、現在の私は、一切ギャンブルをしません。
競馬、競輪、パチンコを始め、宝くじやロト、株も含めて全く興味が薄れてしまいました。
加えて、タバコをやめて約20年、酒は生まれつきの下戸。
なんだか味気ない男ですね・・。

ただ、ラスベガスは、もう一度訪ねてみたいです。
深夜までカジノに興じる体力は失われてしまいましたが、年齢なりの違った楽しみ方ができるかなと思っています。

初めて馬券を買ってから45年。
本日、15時40分、第168回天皇賞(秋)の発走です。

222 四衢八街

弊社のある清澄白河という地区は、古くはお寺だけが目立つ、陸の孤島のような存在でした。
お正月の深川七福神とお彼岸のお墓参り・・。
そんな時期だけ、ちょっぴり街が賑わう場所でした。

清澄白河駅が誕生したのは、都営地下鉄大江戸線が全線開通した2000年(平成12年)12月12日。
わずか、23年前のことです。
その後、2003年(平成15年)3月に半蔵門線が開通したことで乗換駅となり、利便性が抜群に上がりました。

弊社がこの地に移転したのは、その4年後の2007年(平成19年)2月。
その頃、弊社周辺にはコンビニもなく、まだまだ地味で不便な場所という印象でした。

2015年2月6日。
そんな雰囲気を一変させる出来事が起こりました。
カリフォルニア州オークランドのブルーボトルコーヒーが、日本1号店をこの地区に開店させたのです。

これがきっかけとなって、サードウェーブコーヒーの出店が相次ぎ、今ではカフェの街として、その名が知られるところになりました。

現在、ブルーボトルコーヒーは、青山、六本木、銀座、恵比寿、渋谷など、都内の一等地に多くの店舗を出店していますが、この清澄白河の店舗は「清澄白河フラッグシップカフェ」と公式サイトで紹介されています。
フラッグシップカフェ、即ち「旗艦店」ですから、企業の顔です。
我が街・清澄白河が、青山や六本木を見下ろしているようで、誇り高い気分になります。

弊社から徒歩数分の圏内には、ニュージーランド出身のカフェ「オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」もあります。
ここには一時頻繁に通っていましたが、地元の英雄とも言えるブルーボトルコーヒーに、本日、初めて行きました・・。
この地で働く者としては、乗り遅れるのも甚だしいと反省しております・・。

開店まもない時間でしたので、店内はまだ空いていました。
カプチーノを注文すると、若い男性スタッフが丁寧に淹れてくれました。
持ち帰りで741円支払いましたので、スターバックスよりもだいぶ割高ですが、そこは単純比較してはいけないですね。

キレイなラテアートのカップに心を鬼にしてフタをし、ゆっくりと慎重に歩くこと2分。
会社に着くと、以下のような風貌となっていました・・。

今日は朝から、新しいオンデマンド機を設置する作業があったのですが、会社で過ごす週末の朝が、とても豊かな時間となりました。

初めて訪れてみて、店の外に自動販売機が設置されていることに気付きました。
コーヒーを売っているのはもちろんのことですが、私が心を奪われたのは「ブルーボトル羊羹 4本入り 1,870円」。
コーヒー味の羊羹なのでしょうか・・。

ネットで調べてみると『京都堀川三条で60年以上続くあんこ屋「都松庵」とコラボレートした、今までありそうでなかった、コーヒーに合う羊羹』だそうです。
帰りにもう一度寄らねばならなくなりました。

221 天佑神助

私は令和初日を京都で迎えました。
そして、令和最初の神社参拝は、伏見稲荷大社でした。
ご存知の通り、全国に数多ある稲荷社の総本宮ですので、商売を営む端くれとして、京都を訪れた際はお参りさせていただいています。

京都は外国人観光客が多いことで有名ですが、中でも伏見稲荷大社の人気は別格です。
トリップアドバイザーが発表している「外国人に人気の日本の観光スポットランキング」によると、2014年から6年連続1位だったそうです。
延々と続く千本鳥居は、日本的かつ幻想的で魅力的に映るのでしょう。

先日、仕事がひと区切りついたタイミングで、半年ぶりに参拝に訪れました。
連日体温越えの気温が続き、危険な暑さと言われている最中でしたが、まもなく上半期を終えるタイミングでもありましたので、決死の覚悟で上洛しました。

伏見稲荷さんへ到着したのは、午前6時30分。
既に太陽がギラギラ照りつけていました。
そしてこの日、予想外な出来事が3つありました。

1つめの予想外は、早朝から参拝客がたくさん訪れているかと思いきや、上の通り、案外空いていました。
猛暑のせいかな? と思いましたが、本当のことは分かりません。

2つめの予想外は、授与所が7時になっても閉まったままだったことです。
以前は6時過ぎから開いていたんだけどな・・と思いながら公式サイトを調べてみると、昨年3月にコロナ対策の一環として、以下のような決定が下されていました。

お札・お守り・おみくじ・朱印(授与所)の取扱い時間について
8:00から~17:30まで

通常対応になった、と理解すればいいですね。
8月限定の御朱印に心動かされましたが、今回は授与所が開く前に失礼することにしました。

最後の予想外は、楼門手前の両側に鎮座している、狛犬ならぬ狛狐が工事中だったことです。
見えづらいのですが、下の画像の中央にある貼り紙には、以下のように記載されていました。

眷属像の塗り替え工事を行っております。
ご迷惑をおかけ致しますが、足元にご注意のうえ、ご参拝くださいますよう、お願い致します。

最初の3文字(眷属像)は、「けんぞくぞう」と読みます。
「眷属」とは神の使いという意味ですが、サラッと読めたりするとちょっとカッコイイかも知れません。

稲荷大神にとって狐は「神使(かみのつかい)」「眷属(けんぞく)」などと呼ばれています。
熊野神社の烏や八幡神社の鳩などと同じような扱いです。

ちょっと屁理屈を申し上げると、先の狛狐という表現は、正しくありません。
狛犬は、古代インドやエジプトで、守護獣として獅子(ライオン)の像を置いたのが起源といわれ、それが中国・朝鮮半島を経て日本に伝わったことから、「高麗(高句麗)の犬」が語源であることが定説となっています。
従って、狛狐という表現は、本来の意味から逸脱しています。

難しいことは置いといて、この半年、無事に商売を営むことができたお礼ができ、少し心が落ち着きました。

商売がうまくいくかどうかは、自分の努力だけではどうにもなりません。
自分と客の間には神仏が居られることを忘れずに。

真言宗の僧侶のお言葉も心に留め、今後も仕事に邁進したいと思います。

220 敲氷求火

「日米首脳会談」のように、国名を漢字一文字で表すことがあります。
「米」=アメリカ、「英」=イギリス、「仏」=フランス、等々。
小学校高学年頃、なんて面白いんだろうと興味を抱きました。

「比」=フィリピン
「印」=インド
「加」=カナダ

なるほどなるほど。

「越」=ベトナム
「馬」=マレーシア
「蘭」=オランダ

すごいすごい。

「墨」=メキシコ
「秘」=ペルー
「丹」=デンマーク

このあたりで、なんで?? とやや興醒めした記憶があります。

今、外国人の名前に漢字をあてて作るハンコが人気になっていると、先日、テレビのニュースが報じていました。
ビアンカさんなら「美安佳」、オリバーさんなら「雄理場」といった具合です。
(その昔、暴走族やヤンキーの間で流行した「夜露死苦」とか「愛羅武勇」を思い出してしまいます)

テレワークによって電子印鑑の必要性が増し、ハンコ離れが進む世の中にあって、インバウンドに狙いを絞って売り出したところ、人気を集めているようです。

この企画を考案したお店は、外国人に漢字の意味が記載された紙を見せながら、どの漢字を当て嵌めるか注文主と一緒に決めていき、出来上がったハンコと一緒に、漢字の意味に関する資料も渡すそうです。
これなら、お土産として国に持ち帰っても、どうしてこの漢字にしたのかキチンと説明ができますね。

私には、漢字にまつわる苦い思い出があります。

大学4年の夏、フロリダの英語学校に1ヶ月だけ在籍していた時のこと。
そこは、英語以外を母国語とする国の人が英語を学ぶ場所で、私のクラスには、フランス、サウジアラビア、イラン、ペルー、韓国など、様々な国の若者が在籍していました。

週に一度、自分の国の紹介をする時間がありました。
もちろん、英語での発表です。
私は「漢字」をクラスの仲間に教えてあげようと決め、周到に準備をしました。

日本語で原稿を作るのも大変ですが、すべてを英語で伝える訳ですから、一大事です。
ましてやインターネットのない時代。
辞書を片手に多くの時間を掛けて、英訳しました。

そして、当日。
「今日は、MASAMIが日本について発表してくれます」と紹介され、十数人を前にスピーチを始めました。

アメリカ人は、わずか26文字しか使わないけれど、アタマのいい日本人は何万個と存在する漢字を使いこなしています。

さんずい、きへん、くさかんむり、くにがまえ・・・・、多くの「部首」があります。
さんずいは「海」「湖」「涙」など水に関する漢字が多く、くさかんむりは「草」「苗」「蓮」など草花に関する漢字の集まりです。

因みに私の名前は漢字で「山田雅己」と書きます。
この漢字を1文字ずつ英語に訳すと、「Mountain Rice field Brilliant Me」となります。
今、日本では「Small Fountain Today Child」って名前の歌手が人気です。

漢字の誕生にもいろいろと意味があります。
木がたくさん集まると「森」になり、田んぼで力仕事をしているのは「男」、おんなが古くなると「姑(しゅうとめ」で、波のようにシワができると「婆(ばばあ)」になるんだぞー。

どうだい、面白いだろ、なんてひとり悦に入ってしゃべっていたら、一番後ろに座っていたいつも寡黙なペルー人が、普段は見せたことのない興奮した表情で声を上げました。

「そんな話よりさ、日本にはNINJAがいるんだろ。塀を一気に跳び越えられるって、ホントなのかい??!!」

「マジか! おい、日本人はそんなにジャンプできるのか?」(by Iranian)

「スゲー! 今すぐ外でやって見せてくれ!」(by Saudi Arabian)

おいおい、ペルーの友よ・・。
キミのおかげで、渾身の原稿は半分以上が紙くずとなりました。

219 翻雲覆雨

今日の読売新聞朝刊の編集手帳に、蛙化現象に関する記述がありました。
以下に抜粋します。

グリム童話の「かえるの王さま」に由来する「蛙化現象」が若い世代で流行語になっている。
元々は心理学の言葉だという。
好きな相手に好意をもたれた途端、嫌悪を抱く心理を指す。
SNSには、心変わりの瞬間が数多く投稿されている。
〈彼氏とドライブしてたけど途中でガソリン入れる奴まじ無理〉
ささいな振る舞いで気持ちが冷めることを蛙化と称している。
以前は食事中に鼻毛が見えて急に冷めたとか、わかりやすい理由だったものだけれど。

『蛙化』なんて聞いたことないなとつぶやきながら、隣にいたセガレに「おい、蛙化現象って知ってるか?」と尋ねてみると、

「元々は童話からきてるんだけど、今使われているのは、理不尽とも言える理由で突然冷めちゃうみたいな意味だね。」

すんなりと100点満点の答えが返ってきました・・。

調べてみると、Z世代が選ぶ2023年上半期の流行語ランキング1位は「蛙化現象」だったそうです。
若い世代では、常識なんですね。
最近、ジェネレーションギャップを感じることが頻繁になりました。

心変わりの瞬間についてネットで調べてみると、以下のような例が掲載されていました。

  • 泳いでいるときの息継ぎの顔
  • フードコートでお盆持って彼女を探している姿
  • 改札でICカードが反応せず立ち往生している姿

確かにちょっとカッコ悪いけれど、笑って済ませてあげようよって、若い頃からだらしないオジさんは思います・・。

そう言えば、カミさんから似たような話を聞いたことがあるな・・、と思っていたら、

「アタシ、中学生の時に片思いしていた男の子の体操着に『汚れの首輪』を見つけた瞬間、嫌いになったことがある!」

カミさんもそんな昭和の青春を過ごしていたんですね。
まあ、分からなくもないかなと思います。

蛙化現象について、心療内科の専門家は以下のように分析しているようです。

  1. 理想が高いことが原因
  2. ちょっとしたことで幻滅しやすく、気持ちが冷めてしまう
  3. 相手を100点か0点で判断してしまう

蛙化現象は病気ではないものの、繰り返し起こしてしまうと、「自分は恋愛ができないのではないか?」「このままでは一生結婚できないのでは?」と不安を感じる人もいるそうです。

また、蛙化現象は相手に対して嫌悪感を持つだけでなく、自分に嫌悪感を持つことがあるとのこと・・。
自分から好きになって告白をしたのに相手を嫌いになってしまった場合、「相手に申し訳ない」と自己嫌悪に陥る心理は理解できますね。

これは、笑ってばかりはいられない問題かも知れません・・。

そう言えば、かれこれ45年前のこと。
後輩の女の子と2人で出掛けることになり、それを知った先輩が真顔でアドバイスをくれました。

「ヤマダ。喫茶店でケーキ食べることになったらな、ミルフィーユは頼んじゃだめだぞ。アレは横に倒さないといけないし、倒したところでフォークじゃ切りづらいんだ。しかもボロボロこぼしやすいからキレイになんか食べられない。彼女に嫌われるから、ゼッタイやめとけ。」

三藤さん、今もミルフィーユを見るたびに先輩を思い出します。