月別アーカイブ: 2017年5月

108 塞翁之馬

先日ネットでこんなニュースを見ました。

日本郵便は19日、6月1日の料金値上げに合わせて今月15日発売した新しい往復はがき1,400万枚に、印刷ミスがあったと発表した。本来は表裏両面の上部に入る「郵便往復はがき」の文言で「往復」が抜けていた。利用に支障はなく、販売は続ける。6月2日以降、在庫がなくなった郵便局から正しく印刷したはがきに切り替える。

印刷会社が内容を微調整した時に、通常のはがきのデータを流用したのが原因。刷り直しの費用は印刷会社が負担する。はがきの印刷ミスは民営化後初めてで、「これだけの規模は過去にも例が無いのでは」(広報)という。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170519-00000059-asahi-soci

思わず「あちゃー」と声が出てしまいました。
去年のデータを利用したら日付を直し損ねた、といった類いの、実にありがちなミスですね。
事態が発覚したのは、販売開始後の郵便局員による指摘だったそうで、ここが世間の非難を浴びている一因のようです。

ミスについて、若い頃、先輩に教わったことがあります。

分厚いページものを作っていて、本文は穴が開くほどチェックした、目次も大丈夫、紙も間違ってない、物流も確認済み、でも、出来てみたら、表紙の一番大きな文字が間違っていた…。
ミスが起こる時は、得てしてそんなものだ、と。

刷り直し費用を印刷会社が負担する、という点も気になりました。
誤った製品は使用可能であるにも関わらず、業者負担で刷り直しとは、なんとなく腑に落ちないですね。
契約上の理由でもあるのでしょうか。

この際、普通のはがきも往復はがきも、「郵便はがき」と印刷してはダメなのでしょうか。
こう言っては何ですが、利用者にとっては、全く気にならないはずです。
そうすればリスク回避になりますし、怪我の功名のような結末は、担当業者にとって少しは希望になるのではないか思います。

最後に、上記に関してひとつウンチクを。
はがきとして郵送するためには、「郵便はがき(またはPostcard)」と印刷されていなければなりません。
この印刷がない場合は、手紙(第一種郵便物)と扱われますので、はがきの体裁をしていても、82円切手を貼る必要があります。
念のため。

107 開巻有益

高校生のとき、ノンフィクションに目覚めました。
松本清張の「日本の黒い霧」を読んで、帝銀事件と下山事件を知ったことがきっかけです。
GHQの支配下という特殊な環境下で起こった、凶悪かつ不可思議な事件に、心を奪われました。

その後、凶悪犯罪や事故、死刑問題に興味を抱いた私は、今も関連の本を読み続けています。
それ故、自宅の書庫は、家宅捜索が入ったら疑いの要素には事欠かないラインナップです。

ただ、こういったジャンルの本は、小説のように数多く発行される訳ではありません。
従って、書店のノンフィクションコーナーに興味を惹く本がないと、「仕方なく」小説を買うことも少なくありません。

その仕方なく購入した小説が、気が付くと、数冊「積ん読」になっていました。
そのうち・・と思っているうちに、ズルズルと月日が経過してしまったのです。

しかし、連休前に意を決し、「ゴールデンウイーク積ん読ゼロ化」を人知れず宣言しました。
日中自宅で、就寝前に布団の上で、移動中の電車の中で、休憩中のカフェで・・。
様々なシチュエーションで読書を心掛け、本日、目標を達成しました。

読破後「読書は楽しいなあ」と改めて感じました。
元々書店に行くのは好きなので、来週末、新たな本を探しに行こうと思います。

余談ですが、私、電子書籍はダメです。
紙にインキで刷られた「本」が好きだからです。
しかし、電子書籍は印刷業界の敵ではないかという思いも、正直、心の隅っこにあります。
デジタル化の波に抗おうとする、商業印刷に携わる者としての譲れない何かが、思考回路の一角にこびり付いて離れないのだと思います。

ところで、セガレが小さいとき、私は意識して、自宅で本を読むように努めました。
「オヤジはよく本を読んでるだろ?」「読書は楽しいぞ!」とセガレに擦り込むためでした。
極端言えば、虚像でも構わないので、オヤジが日常的に読書している姿を印象付けることで、セガレに読書の習慣が付けば・・と願ってのことでした。

作戦が奏功したのかどうかは不明ですが、セガレは現在、通学の電車で読書をしているようです。
最近では、風呂場に本を持ち込み、浴槽につかりながら読書しています。
湿気で本がヨレヨレになるのは些か問題ですが、本を読む習慣は続けて欲しいと思っています。

ただ、読むのはミステリーが多いので、夏目漱石や川端康成も・・と願うのは欲張りでしょうか。
「じゃ、オヤジは今、なんの殺人事件の本、読んでんの?」
なんてツッコミに遭わぬよう、余計なことは言わずにおこうと思います。