050 思慮分別

京都ひとり旅の雑文3つめです。

行きの新幹線での出来事です。
私の席は3人席の窓際でした。

座ってまもなく、隣に小学生の兄弟がやって来ました。
「まさか、子供2人だけ??」と思った次の瞬間、後部座席に座るお母さんが視界に入りました。
3人並んで座席が確保できなかったんですね。

そこで・・、
「あの〜、座席替わりましょうか?」と申し上げ、私は1列後ろの通路側に移動しました。
まだ20代にも見える若いお母さんでした。
ちょっと良いことをしたかな、などと思いながら読書をしてその後を過ごしました。

京都駅が近づいた頃、前の座席の親子がなんとなく気になりました。
「車内で騒ぐこともまったくなく、ずいぶんおとなしい男の子だな・・。」
「まだ下車していないはずだよな・・。」

荷物をまとめ、降りる準備をして立ち上がると、その親子は肩を寄せ合って爆睡していました。
なるほど、これならおとなしいはずです。朝早くて、きっと眠くなってしまったのでしょう。

しかし・・、
元々の私の座席に、京都から誰かが乗ってきたらどうするんだろう??

よく考えてみれば、席を交替する時に、先様の目的地を確認するべきでした。
親切心でしたことですが、思慮が足りませんでした。

ひとこと伝えようと思っても、親子3人は、深い夢の中です・・。
声を掛けることを躊躇い、私は京都駅のホームに降り立ちました。
今の座席のまま、目的の駅まで到着できますように、と祈りながら。

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