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056 暮雲春樹

平成22年1月4日、
49歳という若さで逝ってしまった「ユミ」は、今年七回忌を迎えました。

節目の時期から2ヶ月遅れてしまいましたが、先週日曜日、墓参に出向きました。
ユミは、ご両親が暮らす静岡県三島市に眠っています。
1年3ヶ月ぶりの再会でしたが、お彼岸の中日に会えて、良かったなと思っています。

一緒に行ったのは、大学の同級生2人と、その奥さん1人。

同級生の1人は、福島市に単身赴任中の「ミゾ」。
広島出身のミゾは、酒も結構飲むし、不規則な生活をしている割には、中年太りとは縁がなく、大学時代よりも体重が減って、現在53kg!
身長は私と大差ないので、たぶん172〜173cm。
メタボは全く心配ないけど、ある意味心配かと・・・・。

いつも飄々としているミゾは、この日も「時間に遅れそうだから先に行ってくれ」と電話をしてきたかと思ったら、発車時刻ギリギリに新幹線に飛び込んできました。
スリムな体型を活かして、東京駅構内をダッシュしてきたようです。
しかし、そこは50代半ば。
新横浜駅あたりまでは、虫の息でしたね。

もう1人は、数年前に自宅を新築し、また借金生活だ!と苦笑している「あっちゃん」。
大学時代から穏健な男で、知恵袋的存在だった彼は、近年手足の痺れに悩んでいます。

「分かりやすく言うと、左手では大ジョッキが持てない。」

明るくそう言う反面、
「ちょっとずつだけど、時間と共に進行しているような気がする。」
とも言います。

手術も受け、脊髄症を疑われているものの、病名も原因も今一つはっきりしないために、治療法もどこか手探りなのだそうです。

「少し酒を控えようと思って、自分から誘うのを止めたら、週の半分が休肝日になった!」

お酒の量が減るのはきっといいことなのでしょうが、やっばりあっちゃんには、
大ジョッキで軽やかに乾杯して欲しいな、と思ってしまいます。

そして、もう一人。
墓参には一緒に行かなかったけれど、大切な友人のひとりが、近年体調を崩しています。

大学時代の彼を一言で形容すると、「天真爛漫を絵に描いたような若者」でした。
私は彼の下宿に頻繁に泊めてもらいました。

そして、ある試験の前夜・・・・。
「授業には出ていない、試験範囲は分からない、頼りになる友人もいない、まいった。」
私が煎餅布団で悶々としていると、
「お前な、今日それを考えて、結論出るか?出ないだろ。じゃ、寝ようぜ。」
まもなく、彼のイビキが聞こえてきました。
明日のテストに向けて、何ひとつ準備もせず・・・・。

あ~、自分もこういう思考回路になりたいなあ、とつくづく思ったものです。
奔放で悠然とした彼と違って、うじうじした自分が、とても煙ったく感じました。

しかし、時を経て、立場が変わり、双肩に担うものが増え、少しナーバスになったようです。
彼とは、仕事の環境が似ているので、決して他人事ではありません。
私も正に紙一重、明日は我が身です。

しかし、私には、彼に何の力も与えられません。
春の訪れと共に、少しずつ前に進めるよう、ただただ、ひたすら、願うばかりです。

遠く離れた友を思い、心を痛めています。
改めて自らの足下も見つめ直しつつ・・・・。

016 泰山北斗

昨日の新聞一面に、iPS細胞から作った網膜の細胞を目の難病患者に移植する臨床研究の手術が行われたことが、大きく報じられていました。
京都大学の山中教授が生み出した「夢の細胞」が、誕生からわずか8年で実用に向けて新たな段階に入ったのだそうです。
様々な病気で苦しむ人々に大きな希望を与えた明るいニュースでした。

この新聞記事を読んでいて、ひとつ気づいたことがあります。
今回の手術に関わった先生方が、皆、私と同年代なのです。

iPS細胞の生みの親・山中伸弥先生は1962年9月4日生まれなので、私の一つ下。

臨床研究を率いた理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは、1961年6月23日生まれだから私と同級生。

山中教授と記者会見に同席した、高橋政代先生の夫・iPS細胞研究所の高橋淳教授は、高校の同級生同士で結婚されたらしいので、必然的に私とも同い年。

執刀医である先端医療センター病院の栗本康夫先生は、高橋政代先生と京都大学医学部の同級生で53歳。ということは同い年か一つ上か・・。

う〜ん・・、同級生すごいなぁ・・。

36歳の若さでお亡くなりになったダイアナさんも同い年。あの訃報は悲しかった・・。
ほかには、俳優のジョージ・クルーニーさん。あんな格好いい中年になりたかった・・。
脚本家の三谷幸喜さん。溢れる才能に嫉妬し、19歳も年下の女性との再婚にも嫉妬し・・。
そうそう、女優の斉藤慶子さんはデビュー当時からのファンで、私の永遠の憧憬・・。

世界に誇れるって訳にはいきませんが、人生も後半にさしかかってきたこの年で、ひとつくらい胸を張れることを持っていたいなあと・・。

う〜ん、なにかあるだろうか・・。

014 蓴羹鱸膾

今日は朝から健康診断に行ってまいりました。
先週後半は夏期休暇でしたので、気が緩んで少し体重が増えてしまいました。
健康診断を控えた今週のランチは、水曜日を除く4日間、蕎麦!
ちょっと女々しい行為と感じつつ、低カロリーなメニューでお昼を過ごしました。

さて、健康診断最初の項目は身長と体重測定。
測定器に乗って待つこと10秒。
プリントされてきた紙に書かれた数値は「172.5cm、65.95kg」。
蕎麦の効果か否か、休暇中の増加分はお釣りがくるほど減っていました。

ところで、私が毎年のようにひっかかるのは「中性脂肪」。
正常値は30~149mg/dLだそうですが、私は150〜200の間が多いのです。
「お酒か甘い物か、好きですか?」
と医師に聞かれたことがありますが、私はお酒が全く飲めません。
とはいえ、子供のようにお菓子を毎日食べるわけではないので、結局は運動不足なのでしょうか。

全ての検査が終わり、医師との診察になりました。
医師が、私の血液検査の結果が書かれた用紙をみているそばから、「中性脂肪はいくつですか?」と尋ねると、125とのことでした。

「いや〜、美しい数値ですね〜。」
思わず口をついてしまいました。

「検査結果は総じて優秀な部類ですが、運動するよう普段から心がけて下さい。」
医師はたしなめるように仰りました。

ところでこの医師。もう何年も健康診断の際にお目に掛かっていますが、とっても温厚で優しい男性医師なのです。
年に一度しかお会いしませんが、先生もなんとなく私が印象にあるようでした。
すると、診察の途中に突然、
「伊豆アート印刷って名前、どういう由来なの?」
と尋ねてきました。

「私の父が伊豆の出身なので・・。」
「伊豆のどこ?ボクは東伊豆の出身なんだよ。」
「そうなんですか。父は長岡のちょっと北です。ん・・、韮山の近くです。」
「あー!韮山ね。田舎なんだけど、韮山高校なんて優秀な学校もあるよね。」
「はい。韮山高校は甲子園で優勝したこともあるんですよね。」
「よく知ってるね!すっごい昔だよね。正に文武両道だね。」

診察室は妙な盛り上がりをみせていました。

「なんのことやら、さっぱりわからんでしょ。」
医師から問われた女性看護師さんは、
「はい、まったく・・。」
「いいのいいの。数値が高いとか、運動しなさいとか、お酒は控えなさいとか、そんな話より何倍も楽しいねぇ♪」

先生はとっても楽しげでした。
よっぽど楽しかったのか、いつもより長く診察してくださり、ちょっぴり痛みも長引いた直腸診でした。

参考:韮山高校は1950年第3回選抜高等学校野球大会の優勝校です。